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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 105 敦子の想い(42)

 わたしには、そんなより女という存在感のネコ役を求めてくる男を意識したタチ役的なパートナー相手には…
 惹かれ、魅かれるという事が、いや、興味を持つという事さえ無かったのである。

 確かに普段のわたしは基本的にはネコ役に見えるファッションをしていたし、何人かの寝たタチ役の相手からの愛撫には、常に受け身的に抱かれ、愛されていたから、カラダの快感はそこそこ感じていたのだが…

 やはりわたしはまゆみサマみたいな、ううん、すっかり心の中を占領しつつあったゆかりお姫さまという、凛とした美しい女性の存在感が好きであり、求め、いや、それが全てであったから…

 抱かれれば抱かれるほどに、カラダは感じ、心は空虚感を感じてしまうという迷走的な、そんな相反する矛盾な想いが湧き起こってきてしまうのであったのだ。

『でもその今のあっちゃんの女性っぽいファッションと魅力だと、タチ役のパートナーばっかりが寄ってきちゃうわよ…』

 わたしはそんなママの言葉を受け…

 だったら逆に、わたし自身がタチ役に見える感じとなり、より美しい、女という存在感を意識したパートナーを探し、求めればいいんじゃないのか…
 と、逡巡し、それまでのスタイルを、つまりはヘアスタイルを刈り上げを取り入れたショートカットに変えてみたのである。

 すると今度は…
 美しさを常に意識をしたより女らしいビアンのパートナーが、まるで磁石に吸い寄せられるかの如くに集まってきたのだった。

 だが…

 だけど…

 でも…

 わたしの心は決して満足はしなかった、いや、出来なかったのである…

 なぜならば…

 やはりタチ役を求めてくるビアンの女性達の殆ど、いや、全てが、より男っぽい女、つまりはタチ役の美しい男役的な役割のパートナーを求めてくるから。

 そう、つまりはまるで宝塚歌劇団の男役みたいな女を求めていたのだった…

 だがわたしは、いや、自分の心の中には男という想いや、それに近い感情、感覚等の存在は皆無であった。

 ううん、既にその頃のわたしの中には自分の欲する想い、切望をはっきりと理解できていたのだ…

 つまりは…

 ゆかりお姫さまを、或いは、それに近い存在を…

 理知的で、凛とした美しさの存在が欲しいのだ…と。
 
 


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