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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 116 昂ぶる疼き(10)

「あ…ち、違う…の…」
 すると呆然としているわたしに敦子がそう口を開いてきた。

「え?」

「あ、うん…ほ、ほら…あの…そのぉ…」
 敦子は言いづらそうな顔をして…

「ほ、ほら、も、もう4時半近いから…
 あ、明日も仕事だし…」
 
「あ…」

「だ、だから、わたしはすごく嬉しいけど…でも、やっぱりぃ…」

「あ、う、うん…そうか、そうよね…」
 わたしは敦子の言葉を聞いた途端に、目から鱗が落ちた思いになってしまう。

 そう、そうなんだ、明日はまだ平日の8月20日の水曜日、しかも長期のお盆休みが明けたばかりなのである…

「そ、そうよね…」
 
「うん、あ、はい、しかもゆかり姫、あ、ゆかりさんは明日もまたお忙しそうだし…」

「え、あ、うん…」
 確かにわたしは明日も、いや、明後日も、ううん、まだまだしばらくは超が付くほど忙しい…
 そして、敦子がわたしを『ゆかり姫』から『ゆかりさん』と言い直した変化にふ、と気付いた。

 敦子はわたしより冷静なんだ…

 わたしのこの昂ぶっている疼きは…

 無いみたいだ…

 わたしはふと、そんな事を想いながら敦子を見る。


「え、あ、いや、ううん、いいえ、もちろんゆかりさんのお気持ちはすごく嬉しいけど…
 じ、時間が…」
 敦子はそんなわたしの一瞬の想いを察知したのだろう、すぐにそう言ってくれる。

 そして…
「そ、それに、あ、あのぉ…」
 急に恥ずかしそうな表情に変わり…

「え?」
 あ、なんだろう?…

「そ、それに、あのぉ、ほら…
 わ、わたし達は…
 あ、あのぉ…」

 すごく恥ずかしそうでモジモジしながら…

「わ、わたし達は…
 ほ、ほらぁ、そ、そのぉ…は、始まったばかりだし…」

「あっ…」

 そ、そうなんだ、そうなんだわ…

 わたし達は、いや、この禁断の関係は今夜が初めての夜…

 しかも、今夜から敦子はわたしと一緒に…

 ルームシェアというカタチで一緒に住むんだ。

「だ、だから、そんなに焦らなくたって…
 ううん、あ、あの、わたしもまだお仕事にも慣れてなくて…」

 そう、わたしは敦子と一緒にルームシェアして住むんだ…

 ドキドキドキドキ…

 その現実に急に気持ちと心と…

 カラダが…

 疼き昂ぶってきていた…




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