テキストサイズ

シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 121 絡まる想い…

 これからはこんな毎日、毎朝を迎えるのだろうか?…
 わたしはタクシーの座席に座りながらそう思う。

 そしていつの間にか、さっきまでの昂ぶる疼きも治まっていたのだが、タクシーが首都高速にスムーズに乗った頃であった、わたしは流れる車窓をボーっと眺めながら…

『今朝の敦子の様子を見ても、なんだか、昨夜のアレがまるで無かったみたいに思えちゃうなぁ…』
 そんな事をふと想い…
『まさか夢、いや、わたしの妄想だったのかしら…』
 そう思ってしまった、いや、思おうと自分に言い利かせていると…

 あっ…

 なんと不意に…

「ぁ…」
 敦子の指先が膝に置いているわたしの指先に触れてきたのである。

 そしてその指先が絡みついてきて…

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 一気に心が激しく昂ぶり、高鳴り…

「…………………」
 わたしは一瞬にして固まってしまったのだ。

 や、やっぱり、昨夜は夢や妄想なんかじゃない…

 り、リアルな現実…

「あ…」

 そして敦子の美しい脚が、ストッキングの艶やかな光沢に覆われた美しく、艶やかに輝く脚も…
 わたしのスカートから伸びた膝下のふくらはぎに触れ、いや、密着してきたのである。

 シャリシャリとしたナイロン繊維のストッキングの肌触りの感触が…

 生々しい体温が…

 そして敦子の想いの感情が…

 その触れ合っている脚同士から伝わってくるのだ。

 いや、その指先の絡みとストッキング脚同士の密着感から…

 敦子の愛が、愛情が、熱い想いがわたしの心の中に激しく流れ込んできた。

 ドキドキドキドキドキドキ…

 ウズウズウズウズウズウズ…

 また再び、疼きが昂ぶり…

 ザワザワザワザワザワザワ…

 激しく心も揺さぶって、いや、揺らいでくる。

『今日からわたし達は始まるの…』

 敦子の想いが…

 昨夜の言葉が…

 わたしの心を激しく揺らがせてきていた…

「ぁ…ぁ…」

 あぁ、敦子、あつこ…

 わたしは横を向く。

 だが彼女は黙って前を向いたまま…

 ただ、ただ、その想いを黙ってわたしに伝えてきていた。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ