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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 9 越前屋の聡明さ

 逆に、現在の越前屋朋美の地位、存在について興味が無かったり知らないという事であるならば、既に自分自身の希望を失くしているという事の証明といえ、そんな輩はこの先の戦力には全くならないであろう…
 それがこちらからの線を引く材料に十分になると判断てきると思う。
 
 だからこその越前屋朋美の存在感でもあるのだ…

「え…と、元人事部にいた上野さんにも再確認したんですが…」

 上野涼子…
 元人事部所属で、当時の前常務派のそんな粛清人事異動等については全く知らされずにただ上司に命令されて異動の辞令等の手続き等をしていた存在である。 
(現在は『新規プロジェクト』にピックアップされ、人事総務部と資格推進部の副主任を兼任している)

「主にパッと思い浮かぶのは四名ですかねぇ」

「ほぉ、四名か…」

「は、はい、そうです」

「いやぁ、前常務派はかなり好き勝手していた様だなぁ」
 四名、この今の時期で四人とは私の予想以上である…

「はい、そうですね、多分、あと何人かいるんですけどぉ…
 さすがに全部把握している訳ではないので…」

「うむ、それは分かってるよ」

 そう、それはそうであろう…
 当時の彼女は、旧態依然とした極端な男尊女卑の社風の中で孤軍奮闘の抗いを必死にしていた筈であった訳だし、それに前常務派の私物化の悪行を把握していた訳でもなかったから…
 そんな私物化が理由の不当な異動人事等は後になって知った事実であったそうだから。

「でもぉ、その四人は飛ばされた地方支社でも今でも活躍しているそうですからぁ…」

「うむ、そうか、そう、そんな人材が必要なんだよ」
 そう、彼女は私の狙いの意図をよく把握し、理解してくれている。
 
 その越前屋の聡明さは…
 そう、佐々木ゆかり並に、いや、秘書の松下律子にも相当する。

 やはり、意外と天下を取るのは彼女みたいな存在なのかもしれないな?…
 
「はい、でぇ、まずは昨日ピックアップした新潟支社の青山一也さんと、宇都宮支社の林田和夫さんの二人が良いかなぁって?」

「え、宇都宮支社の林田?」

「はいそうですぅ、元営業部長でリスクマネジメント系やCFP系のライフプランナー系にも特化したキレる方ですからぁ」

「おや、キミはその林田某を知っているのか?」



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