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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

10 同郷…

「おや、キミはその林田某氏を知っているのか?」
 私は聞き返す。

「はい、林田さんはあの当時の女性社員の唯一の味方的な存在でした…」

「ほう…」
 
「わたしもかなり色々とカバーやサポートしていただきましたしぃ…
 前常務との対立した原因もぉ、確かぁ女性営業社員達の待遇改善だったと…」

「なるほどなぁ」
 
「当時、唯一、保険業界に於ける女性パワー、ウーマンパワーを理解し、推進し、助力してくれていた存在でしたからぁ」
 この保険業界内で女性パワーは最も重要な力である…
 そして、そんな重要な女性パワーを蔑ろにした事が前常務派の失脚の原因の一つでもあるのだ。

「そうか、そうなんだ、しかも宇都宮支社なのか…」

 そう、わたしは栃木県出身なのだ、これも何かの縁にもなる…

「はい、宇都宮支社が何か?」 

「あ、いや、ただ私が栃木県出身だから、つい、反応してしまったんだよ」

「えぇ、あ、大原常務は栃木県出身なんですかぁ」
 少し彼女は意外な表情を浮かべてきた。

「うん、宇都宮ではないけど栃木県内では二番目に大きい街出身だよ」

「へぇ、てっきりぃ常務はぁ、都内出身かなぁってぇ」

「え、何で?」

「えぇ、だってぇ常務はぁ、お洒落な感じがするしぃ…」
 そう笑みを浮かべて言ってくる。

「おい、そんなお洒落だなんて…
 ただの40男のオジさんだよ」
 少し嬉しかった…
 
「え、オジさんだなんてそんなぁ、常務は素敵ですよぉ」
 満更でもなかった…
 いや、少し気恥ずかしい。

「あ、いや、褒め過ぎだよ、ま、とりあえず分かったから、会社に戻って彼らの詳しい資料をまとめてくれるかな」
 そをな会話をしてタクシーを拾い本社に戻る。

 実際、徒歩でも15分くらいな距離なのだが、まだまだ真夏真っ盛りで暑く、とても歩く気にはなれなかった…
 そして私達は常務室へと戻り、彼女は早速パソコンで彼らの資料集めを始める。

「あ、こちらの社長から連絡ありました…」
 すると秘書である松下律子がそう伝えてきた。

 こちらの社長…
 こちらという表現は、この○△保険会社の社長の事であるのだ。

 そういえば元々『△△生命株式会社』からの社長も『林田』だったな…
 と、私はそう何気なく思いながら現『○△生命株式会社』の林田社長に電話を繋げる。




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