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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 12 不快な思い

「う、うむ、そうか…」
 確かに自分と同じ大学出身の後輩は可愛がる傾向はある…
 それに私も山崎専務の大学の後輩に当たるのだ。

「それはだけど余りにも露骨過ぎるなぁ」

「はいしかも、その他にも入れ替え人事のメンバーの全てが同じ大学出身でしたぁ」

「うわイヤだわ」
 すると律子までもが本当に露骨に不快の声を漏らし、反応してきた。

「そしてぇ飛ばされたメンバー全員がぁ、前常務の独裁的で私物化しつつある業務態系にいち早く異議を唱えた優秀な人材ばかりでぇ…
 入れ替えメンバー全員がイエスマンでぇ…」

「うむなるほどなぁ、だから当時の林田社長は瞬く間に隅に追い遣られてしまっていたのか」

「はいそれは、さすがのわたしにもわかりましたぁ」
 そう越前屋が呟くと…

「でもそんな中で越前屋さんは頑張っていらっしゃったんでしょう?」
 律子がそう言ってきたのだ。

 わたしはそんな律子の様子に…
『おや、今日はいつになく食いついてくるなぁ?』
 そう感じる、と…

「あ、ごめんなさい、つい、イラっとしてしまって、余計な口を挟んでしまいました」
 多分、敏感な律子は、そんな私の気配を感じたのだろう…
 すかさずそう言い訳をしてきた。

「あ、いや、いいんだよ、それにここには彼女とキミと私の三人しかいないんだから」
 決して出しゃばった言葉だとは思ってはいないから…
 と、そんな想いを込めて私は言う。

「え、あ、は、はい、ありがとうございます」

「そうですょぉ、逆にぃお姉さん、あ、いや、松下さんの気持ちは凄く嬉しいですぅ」
 と、すかさず越前屋がフォローの感謝の意を込めてそう言ってきた。

 確かに…

 前常務のそんな不等で、独裁的な人事異動を訊いただけでも不快に感じるし、ましてや、この会社の昔からの社風であった『男尊女卑』の流れもどうやら前常務の仕業のニオイがプンプンとしてくるから…
 律子だけじゃなくても、いや、真っ当に頑張ってきた女性ならば皆そう感じ、思う筈だと思われる。

「ですからぁ、まずはその四人は直ぐに呼び戻すべきかなぁって?」

 さすがは越前屋だ…

 完全に私の狙い、思い、そして、この先への私の指針をも理解してくれているようであった。

 やはり、意外と天下を取るのは彼女みたいなタイプなのかもなぁ…
 と、心が囁くのだった。

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