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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

17 共同での画策

「失礼します、少し早かったですかね?」
 
「おぉ大原くん、大丈夫だよ、どうぞ…」
 と、林田社長は社長室のソファーに私を導く。

「はい、失礼します」

「うん、どうした?
 山崎専務が何か?」
 その林田社長の言葉は正に私の傀儡常務という立場を表してきていた…
 つまり、私が本社の山崎専務からの用事で、いや、言伝で来訪してきたと思っているようである。

 確かに今までは、常に山崎専務絡みでの、いや、山崎専務の後ろに鎮座している松本副社長の、その派閥での絡みのゴルフだったり、会食だったり等々以外ではこうして林田社長と一対一で会った事がなかった…

「あ、いや、違うんです、うん、今日は山崎専務絡みは関係なくて…
 そう私個人的な考えからのお願いで来たんです」

「え、そうなんだ」
 と、林田社長は少し当惑気味な顔で呟いた。

 今日は、そう、今日の話しは…
 回りくどい話しはせずに、ストレートに私の本意、真意、想い、考えを伝え様と思って訪ねたのである。

「はい、実は、ご相談というか、ご協力を願いたくやって来ました」

「え?」
 
 多分、この前までの前常務との、きな臭かった社内での派閥争い等々の影響のせいでもあろうか?…
 林田社長はこんな私の言葉に少し不安気味な顔をしてきた。

 だからよけいに、ストレートで真意を伝えたいのだ…

「実は…
 私は早急にこの社内の立て直しと、健全な経営状態に少しでむち早く持ち直し画したいのと、更なる進歩、発展を考えていまして…」

「え、あ、あぁ…」 
 林田社長はこの私の言葉が意外だったねか、キョトンとした顔になる。

「それで………その彼らを呼び戻したいんです」
 と、これまで越前屋と相談し、ピックアップした地方支社に飛ばされた優秀な人材を呼び戻したい…旨の説明をしたのだ。

「え、あ、うん…」

「そこで林田社長の許可を取りたい、そしてご協力もお願いしたいかなと…」

 そう、あくまでも私個人のスタンドプレイではなく、林田社長と共同での再建計画を画策して行きたいのだ…と。

 それは再建計画が成功すれば、もちろん私だけではなく林田社長の手柄にもなるのだ…
 という事にもなる。

 これは、私はあくまでも林田社長を立てる、そして追い越しや敵対はしないという意味の表れでもあるのだ…



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