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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

24 優秀な存在…

 エレベーターがフロントエントランスへと到着した。

「そういえば明日は?」
 山崎専務への『再生計画』の第一歩となる新潟支社出張報告は今夜、つまり、現時刻の20時になってしまったのだが、当然優秀な秘書である律子の事であるから…
 明日の準備の段取りは完了しているという大前提で私は問うた。

「はい、明日は午前10時の上越新幹線を取りました…
 それに午後イチの視察名目で新潟支社には連絡済みです」
 するとすかさずそう伝えてくる。

「うむ、そうか」
 さすが律子である、やはり山崎専務の了解を見越しての完璧な段取りをしていた。

「新幹線か…」

「はい、山崎のおじさまからはこれからはハイヤーを活用しろと云われてえりますが、さすがに新潟へは新幹線の方がよろしいかな?と…」

「うん新幹線の方がいいよ、ありがとう」
 確かに高速自動車道を使えば3時間弱で新潟市内には到着するであろうが、やはり私にはまだ新幹線の方がいいし気楽である。

「でもグリーン車にしました」
 そう律子は微笑みながら言ってきた。
 せめてそのくらいの贅沢はしてください…
 と、いう意味の微笑みであろう。

「よし、そうとなったら準備しなくちゃな」
「はい、一応ホテルも押さえてあります」
「え、あ、そうか」

「はい、一応です」
 日帰りのつもりであったのだが万が一の予定外、いや、波瀾があるやもしれない…
 そんな彼女なりの完璧を期す配慮であろう。

 それにさっきの『ヘーラー』のママの…
『あら、新潟いいわねぇ』
 と、山崎専務による…
『ま、ある意味、出張の楽しみの一つでもあるからなぁ…』
 という言葉がチラと脳裏に浮かんできた。

 そうか一泊もありか?
 どうせその辺の私のスケジュール調整も律子はしてあるだろうし…

 それにさっきの…
『はい、そうですね、ま、大原さんのスケジュールはわたしが管理していますから、終わったらゆっくりできるように調整しますわ』
 そんな律子の言葉も浮かぶ。

 そうか、そうだよな…
 これからはそこら辺の調整は全部、律子に任せておけばいいんだよな…

 私は…
 自分は…
 これからのやるべき事だけをしっかり考え、見据えていけばいいんだよな…

 そう、律子は優秀な秘書でありパートナーであり…
 私の守護神的な存在でもあるのだから。


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