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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

33 律子の笑み

「さぁどうぞ常務さんこちらに」
 そしてカウンターへ座る。

「素敵なお店ですね」
 すると律子はカウンターに座るなり、店内を軽く見回しそう呟いてきた。

「だろぅ、少し前にさ、本当にたまたまなんだが偶然にこの店に入ってさ…
 そしたら、また、たまたま偶然にこのカウンターにコールセンター部の部下が座っていてさぁ…」
 と、私は一応この店に佐々木ゆかりと来た訳ではないんだ…
 という意味で、蒼井美冴との偶然の出会いの流れを簡単に説明をしていく。

「あ、美冴さんは最近来てないっスね」
 するとオーナーの彼が私達の話しが聞こえたのだろう…
 そう言ってくる。

「そうなんですかぁ…」
 すると律子は多分、その『美冴さん』という彼の言葉を聞き、ゆかりでは無いんだと安心したのだろう…
 急にパァっと更に明るい表情になった。

 やはり、律子は可愛い…

 そしてやっぱり若いんだ…

「へぇぇ…」
 律子はそんなオーナーの彼の話しを聞き、ゆかりの存在の影が無いとわかり、ようやく自分なりに気持ちが落ち着いたのだろう…
 今度はゆっくりとカラダを向けながら店内を眺めていく。

 カウンターの後ろには6席のテーブルがあり、その内の2席に若いカップルが座っている…
 そして店内の処々にはサーフボードやら、ウェットスーツやら、サーフィンポスター等々の装飾が飾ってあり、テレビモニターにはサーフムービーが流れていた。

「え、サーファーのお店なんですね」
 律子が呟く。

「はい、隣の店舗ではサーフショップも経営してるんス」
 オーナーの彼がそう言った。

「へぇ、なんか常務さんがこんな感じのお店に通うなんて意外ですわ」
 
 律子は本社コールセンター部のスタッフが通っていると聞き、仕事モードを意識したのだろうか…
 私を『常務さん』と呼んできたのだ。

「え、そうかぁ…
 いちおうこれでも大学学生時代はサーファーだったんだぜ」
 私は少し恥ずかしいのだが、そう言うと…
「あ、そうだ、そうでしたね、そういえば『ノンさん』に聞いてたんでしたっけぇ」
 と、満面の笑みを浮かべてくる。
 (ノン…1346P〜参照)


「えっ、の、ノンって?、あのノンか?」
 私は慌てて訊き返す。

「あ、はい、あのノンさんですよ、わたしあれから何回か電話でお話ししてましてぇ…」
 


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