シャイニーストッキング
第14章 もつれるストッキング3 常務取締役大原浩一
63 全ては…
「さぁ、では、新潟支社に向かう時間ですから行きましょうか」
すると、凛とした秘書としての律子がそう告げて、私の先を歩き始めていく。
「あ、新潟支社には1時半にこちらから伺うと、敢えて伝えてありますから」
このへぎそばの店を出て、タクシーに乗り込むとそう言ってきた。
「うん、敢えてとは?」
「はい、向こうは駅まで迎えに来ると言云ってきたのですが、わたしが敢えて、向こうにプレッシャーを与える意味でそう云っちゃいました」
「あ、うん、そうか…」
向こう、つまり新潟支社にプレッシャーを与える意味…
律子はキラリと目を輝かせてそう言ってきたのだ。
「わたしの独断ですいません」
「うん、いや、それはかまわないよ」
そうは言ったのだが、そんな律子の機転の早さには内心、少し驚いてしまう。
「もう最初からプレッシャーを与えておけばある程度はこちらの思い通りになると思ったもんですから」
「うむ、確かにそうだな」
「はい、ただてさえ向こうの支社長は今回の視察の意図を読みあぐねているはずですから、今頃は戦々恐々としていますよ」
「うん、そうだな」
私はそんな律子の考えに、そう返事をするしかなかった。
そして正にその律子の考えはその通りであり、向こうに対する先制パンチになっている筈には違いないから…
「はい…」
全ては私の為に律子が考えを巡らせてくれた、いや、くれているのである…
そう全ては私の為のはず…
いや、それ以上の深読みは…
今は止めておく…
「あとどのくらいですか?」
と、律子はタクシー運転手に問う。
「5分かからないですね…」
間もなく到着する…
私は少し昂ぶりを感じていた…
「さぁ、では、新潟支社に向かう時間ですから行きましょうか」
すると、凛とした秘書としての律子がそう告げて、私の先を歩き始めていく。
「あ、新潟支社には1時半にこちらから伺うと、敢えて伝えてありますから」
このへぎそばの店を出て、タクシーに乗り込むとそう言ってきた。
「うん、敢えてとは?」
「はい、向こうは駅まで迎えに来ると言云ってきたのですが、わたしが敢えて、向こうにプレッシャーを与える意味でそう云っちゃいました」
「あ、うん、そうか…」
向こう、つまり新潟支社にプレッシャーを与える意味…
律子はキラリと目を輝かせてそう言ってきたのだ。
「わたしの独断ですいません」
「うん、いや、それはかまわないよ」
そうは言ったのだが、そんな律子の機転の早さには内心、少し驚いてしまう。
「もう最初からプレッシャーを与えておけばある程度はこちらの思い通りになると思ったもんですから」
「うむ、確かにそうだな」
「はい、ただてさえ向こうの支社長は今回の視察の意図を読みあぐねているはずですから、今頃は戦々恐々としていますよ」
「うん、そうだな」
私はそんな律子の考えに、そう返事をするしかなかった。
そして正にその律子の考えはその通りであり、向こうに対する先制パンチになっている筈には違いないから…
「はい…」
全ては私の為に律子が考えを巡らせてくれた、いや、くれているのである…
そう全ては私の為のはず…
いや、それ以上の深読みは…
今は止めておく…
「あとどのくらいですか?」
と、律子はタクシー運転手に問う。
「5分かからないですね…」
間もなく到着する…
私は少し昂ぶりを感じていた…