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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 69 えっちゃん…

「実はそのえっちゃんから………と連絡
 を貰ってました」
 さっきまでのシャープな鋭い印象から一転し、柔和な笑顔を浮かべながらそう言ってきたのだ。

 うんやっぱり彼は、こっちが本当の顔なんだろうなぁ…
 彼を見てなんとなくそう思う。

「あらそんなすっごい美人だなんてぇ…」
 珍しく律子が嬉しそうに呟き…
「それにカッコよい常務さんだなんて」
 と、笑みを浮かべてもいた。

「おいおい律子くん、笑うなよ」
 そんなたわいもない会話で、すっかりと緊張感が和んだ感じとなったのである。

 しかしさすが律子であった…
「じゃぁ今日の来訪の意味は越前屋さんから訊いて分かってらっしゃるんですね」
 すかさず機転を効かせて彼に問うた。

「はい、聞いています」
 すると一転して緊張感を持ち直し、そう応える。

「じゃあ話しは早いですね」
 律子はそう私に言ってきた。

「あぁそうだな、うん」
 私はそう呟きながら、青山くんを見て…
「じゃあまた本社に戻って、色々と活躍してくれないかな?」
 私は敢えて、こんな下手な感じに問い掛けたていく。

 そうこれはあくまでも命令ではないのだ…

 あの暴君的に君臨していたそんな前真中常務に虐げられ、苦渋を飲まされていた彼に対して、あくまでも私は違うのだ…
 と、いうひとつのアピールでもある。

 それにもしかしたら、本社にはもう2度と戻りたくないかもしれないという思いがあるやもしれない…
 あくまでも彼、青山くんの意見を尊重するをだという、私の意思表示でもあらのだ。

 すると…
「あ、はい、え、色々と…ですか?」
 そんな私の言い回しに疑問を感じたのであろう…
 彼はそう訊き返してくる。

 それはまるで、資産運用だけじゃないんですか?
 という問い掛けでもあるようだ。

「あぁ、うん、そう色々とね…
 いや、実はキミの事は越前屋くんからある程度詳しく聞いているんだ…
 そして…」
 
 そして…
 ここで私は、自分の意見を…

 そうつまり、私なりのこの保険会社のこれからの改革、改善、そしてこの先どうあるべきのカタチへと変革していくか…
 という思いを、彼に告げていったのである。

 そしてそんな思い描く革新改革の中での彼の存在価値と存在意義を語っていった…


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