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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

72 褒め殺し…

 さすが律子だ…
 その時わたしには律子の見据えている先の想いが見えた…
 いやその時に改めて同じ衝動の想い、思い、考えをお互いの心に秘めているのだと思ったのである。

 そんな事を思いながら…
「まあまあ永岡さん、顔上げてくださいよ、それに拾ってくれなんて…
 私はハナから永岡さんが協力してくれて、私のこれからの力になってくれるモノだって思っていますから」
 と、褒め殺しの言葉を言った。

 私は本当に嘘が、ウソが、上手くなってきている…

「あぁ、大原常務、ありがとうございます…
 もちろん私はこれからは、大原常務の為に精一杯頑張りますから…」
 と、永岡支社長は平身低頭、テーブルに頭を擦り付けてしまうかの様なの勢いで私に忠誠を誓ってきたのである。

 そして…
「あっ、そうだ、今夜、一席設けてありますからぜひっ」
 と、誘ってきた。

「え、あ、今夜?」

「はい、もちろん一泊のご予定ですよね?」

「あ、うん、ま、そのつもりではありますが…
 ちょっと秘書に予定を訊いてみますよ」
 私は携帯電話を取り出す。

 確か律子は泊まる気が満々だったよな?…

『いちおうホテルは押さえてありますし、明日の予定は空けてあります…』
 と、新幹線の中で云っていたはずだが?

 そう思い返しながら、わたしはまだ青山くんと異動等の打ち合わせをしているであろう…律子に電話を掛けた。

「あ、私だ、今夜は?……」

 すると律子がテキパキと、秘書然とした声音で応えてくる………



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