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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

73 秘書 松下律子(1)

「あ、私だ、今夜は?」
 大原常務から電話が来た。

 それは、わたしが先ほど案内された会議室で…
「じゃ今後の話しをこの美人秘書から聞いてくれたまえ」
 そう、この目の前にいる青山一也さんに対して珍しくそんな軽口で答え…
「ちょっと永岡支社長と話してくるから」
 と、わたしと青山さんの二人を残して、一人支社長室に向かった彼、大原常務からの、今夜の予定の問い合わせの電話であったのだ。

 元々、大原常務は、昨日のこの新潟支社出張を決めた時点で、日帰りのつもりでいたみたいではあったのだが…
 報告を兼ねた山崎専務との打ち合わせの時と、おそらくは新潟支社の接待により、どのみち一泊をする事になるであろうという予想もあり…
 いや、そしてなによりわたしが彼、大原常務との新潟の一夜を過ごしたい…との希望の思いもあって、いちおうホテルを確保はしていたのだ。

 だから…

「はい、もちろんホテルは確保してありますし、明日のスケジュールは空けてあります」
 と、秘書として、いや、秘書然としてそうハッキリと答えたのである。

 そして今、なにより、目の前に今回の出張の目的である青山一也と、狭い会議室に一緒に居るのだから…
 敢えて秘書としてハキハキと、そしてテキパキと私情を悟られない様に答えたのだ。

「そうか、うん、わかった…
 じゃぁ今夜、永岡さんと出掛ける事にするから…」

「はい、かしこまりました」
 
 やはり当然の流れとして、彼は今夜、この後から、新潟支社として、いや、永岡支社長からの接待を受けると云ってきたのである。

 だからこれはほぼ予想通りの、いや、予定通りであるといえたのだ…
 そしてそれは今夜、わたしはこの新潟で彼、大原常務と一夜を過ごせるという事でもあるのだ。

 だけどもちろん、ホテルは一緒でもグレードと部屋は別々に押さえてはあったのだ…
 とりあえず夜に彼の部屋を訪れればよいだけの事であるから。
 
 そしてわたしにはそれだけでも十分であった…
 秘書からオンナに変わるのは、夜、深夜でいいのだから。
 
 ヘタに早い時間から一緒に過ごすとなると、いつ、何処で、誰かが見ているやもしれないから。

 動くのは夜、深夜でいい…
 それに一緒に過ごせればいいだけなのだから。

「じゃ、今夜はこっちに泊まるんですね?」
 



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