シャイニーストッキング
第14章 もつれるストッキング3 常務取締役大原浩一
74 秘書 松下律子(2)
「じゃ、今夜はこっちに泊まるんですね?」
そして既にこんな輩の彼、青山さんが、大原常務からの今夜の宿泊の予定の電話での問い合わせの会話を聞き、こうして食いついてきた。
だから、彼との夜を過ごすのは慎重に越した事はないのである…
「はい、そういう事になりました」
わたしは秘書然と、そして毅然と答える。
そしてもう、この時点でのわたしの中での、この青山一也という人物は…
意外に危険だと判断をしていた。
危険…
それは変な意味の危険ではない。
つまり、履歴写真からの眼鏡を掛けた、一見、堅物的で真面目そうであり、もの静かな印象の人物ではなく…
その株式トレーダーとしての有能さの通りな切れ者な、そして恐らくは野心家でもあるという評価からの意味である。
ただ、先に越前屋さんから訊いていた話しでは、女性蔑視の男尊女卑的な会社の風潮に抗い、そして、前常務の不正に対して真っ向から立ち向かったという武勇伝を訊いていたから…
こんな、意外な軽さのある人物だとは、想像していなかったのだ。
だから、少し戸惑ってもいたのである…
「ええ、どこのホテルに泊まるんですかぁ?
あ、松下美人秘書さんも一緒に泊まるんですよね?」
「え、あ、ホテルは一緒ですけど、部屋は、いや、そんな変な言い方は止めてください」
そんな彼の軽口に吊られてしまい、つい、ムキに応えてしまった。
「あ、いや、もちろん、そんな意味で訊いてないですよ」
彼は慌てて、そう言ってくる。
「ですよねぇ、松下美人秘書さんは美人過ぎるから、あちこちから誤解されちゃいますもんねぇ」
「あ、いえ、そ、そういう訳では…」
わたしはすっかり彼のペースに巻き込まれてしまっていた。
「あ、あそこですか、駅前の『グランドホテル』?」
「あ、はい…あ…」
わたしはそんな彼のペースに飲まれ、つい、頷いてしまう。
「ま、無難ですね、アソコがここじゃ一番のホテルだしね…」
「……………」
「もぉ、そんな、怖い顔しないでくださいよぉ…
美人さんだけにゾクッとしちゃいますから」
「え、そ、そんな怖い顔なんて…」
別に怒ってはいないから、そんな怖い顔なんてしている筈が無いのだが…
これが彼のペースにハマってしまっている事みたいなのだといえる…
「じゃ、今夜はこっちに泊まるんですね?」
そして既にこんな輩の彼、青山さんが、大原常務からの今夜の宿泊の予定の電話での問い合わせの会話を聞き、こうして食いついてきた。
だから、彼との夜を過ごすのは慎重に越した事はないのである…
「はい、そういう事になりました」
わたしは秘書然と、そして毅然と答える。
そしてもう、この時点でのわたしの中での、この青山一也という人物は…
意外に危険だと判断をしていた。
危険…
それは変な意味の危険ではない。
つまり、履歴写真からの眼鏡を掛けた、一見、堅物的で真面目そうであり、もの静かな印象の人物ではなく…
その株式トレーダーとしての有能さの通りな切れ者な、そして恐らくは野心家でもあるという評価からの意味である。
ただ、先に越前屋さんから訊いていた話しでは、女性蔑視の男尊女卑的な会社の風潮に抗い、そして、前常務の不正に対して真っ向から立ち向かったという武勇伝を訊いていたから…
こんな、意外な軽さのある人物だとは、想像していなかったのだ。
だから、少し戸惑ってもいたのである…
「ええ、どこのホテルに泊まるんですかぁ?
あ、松下美人秘書さんも一緒に泊まるんですよね?」
「え、あ、ホテルは一緒ですけど、部屋は、いや、そんな変な言い方は止めてください」
そんな彼の軽口に吊られてしまい、つい、ムキに応えてしまった。
「あ、いや、もちろん、そんな意味で訊いてないですよ」
彼は慌てて、そう言ってくる。
「ですよねぇ、松下美人秘書さんは美人過ぎるから、あちこちから誤解されちゃいますもんねぇ」
「あ、いえ、そ、そういう訳では…」
わたしはすっかり彼のペースに巻き込まれてしまっていた。
「あ、あそこですか、駅前の『グランドホテル』?」
「あ、はい…あ…」
わたしはそんな彼のペースに飲まれ、つい、頷いてしまう。
「ま、無難ですね、アソコがここじゃ一番のホテルだしね…」
「……………」
「もぉ、そんな、怖い顔しないでくださいよぉ…
美人さんだけにゾクッとしちゃいますから」
「え、そ、そんな怖い顔なんて…」
別に怒ってはいないから、そんな怖い顔なんてしている筈が無いのだが…
これが彼のペースにハマってしまっている事みたいなのだといえる…