テキストサイズ

シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 78 秘書 松下律子(6)

「だけどこうしてふたつ返事の即答した理由のひとつは、本社待遇の色気と、そしてもうひとつは…
 アナタの予想以上の美人さと艶気さなんですから…」

 果たして…
 本当なのか、ウソなのか?
 真剣なのか、ふざけてるのか?
 判断がつきかねる表情と、その声といえる。

「え、な、何を言ってるんですか?
 もしかしてからかってます?」
 わたしはそう返すしかなかった。

「いや、マジです」
 だが、直ぐにそう即答してくる。

「じゃぁ、わたしを口説く、いや、ナンパでもしてきているつもりなんですか?」
 彼の意図、そして本気度を計りかね、そうストレートに訊いてみた。

「あ、い、いや、そう受け取れるなら、それでいいです…あ、いいや、そう、できれば口説きたい……かな」

 これもまた本当なのかウソなのか?
 計りかねてしまい…
 そしてこの先どう答えればよいのか?と、思案してしまう。

 ブー、ブー、ブー、ブー……
 その時、ちょうどナイスタイミングでわたしの携帯電話が着信した。

「はい松下です…あ、お疲れさまです」
 その電話は保険本社の田中秘書課課長からであった。

「あ、はい、今…え…大丈夫……です」
 わたしはその電話を受けながら、ワザとそう答え、そして彼、青山一也の顔を見る。

「…あ、はい、じゃ、では、また後ほどでも…
 失礼しました…」
 と、わたしの目の意味を悟り、そう静かに呟きながら部屋を出て行く。

「……は、はい…」
 そしてわたしは電話への返答をしながら、彼を目で見送る。

 いちおう、彼はちゃんと、空気は読めるようであった…

「…あ、はい、かしこまりました、じゃ、こちらから折り返した方が?…
 はい、わかりました、あ、そう、課長、とりあえず大原常務は一泊される事になりましたので…………」
 そしてわたしは、さっきまでの新潟支社での視察と、永岡支社長の接待等の内容を軽く報告して電話を切る。

 どうやら午後に『新規プロジェクト』に於いて何かの動きがあったらしく、佐々木ゆかり準備室室長が彼、大原常務に報告を兼ねて訪ねてきた…
 という田中課長からの電話連絡であったのだ。

 だが、今は彼、大原常務はここには居らずに別室である永岡支社長室にいる筈であるから…
 彼女からの直接の電話の有無は確認できてはいない。



エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ