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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 80 秘書 松下律子(8)

 だからわたしは素直に…
「はい、かしこまりました」
 そう返事を返す。

そして…
「あ、そう、佐々木準備室長様からお電話ありました?」
 と、少しだけの抵抗とイヤミを込めて、問う。

 すると…
「え、あっ、い、いや、無いけど…」
 と、彼、大原常務は一瞬だけ動揺の声音で答えてきた。

「ええと、なんか『プロジェクト』の件で、と、いう事で急遽常務室に訪れ、留守だったので秘書課に問い合わせの電話をしてきたという事だそうです、あ、それが午後2時半くらいという事ですが…」
 と、わたしはそう伝えながら、時計を確認する。

 現在は午後4時になる…

「え、そうか、でも私の携帯には着信は無いなぁ」

「そうですか、では、わたしから折り返ししましょうか?」
 これも少しのわたしの抵抗のイヤミのつもりでの言葉でもあった。

「あ、い、いや、私に連絡ないという事は、それほど急用ではないだろうから構わないよ」
 と、彼は慌てて返してくる。

「はい、かしこまりました、ではわたしは先にホテルで………休んでます…ね」
 そう言う。

「う、うん、分かった、また、後で連絡するから、お疲れさま」
 
 どうやら彼にはわたしのこの少しの抵抗のイヤミが通じたようである…
 いや、彼にとっては少しではなかったか。

 だが、これで、今夜、それほどは遅くはならないであろう…
 わたしはそう考え、そして、そのまま、ホテルへと向かう。

 とりあえず、先にチェックインをし、軽く夕食をとり、あ、あのホテルのバーは夜景が綺麗だと案内に書いてあったから、少しバーで飲みながら待とうか…
 そう思いながらホテルに到着した。

 そしてチェックインを済ませ、部屋に入り、シャワーを浴び、軽くメイクを施し…
 ホテル内にある最上階のイタリアンレストランへと向かう。

 そしてエレベーターを降りると…

「あっ、お疲れさまでーす」

 なんと、彼、青山一也がイタリアンレストランの入り口前で立っていたのである…

 
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