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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 82 秘書 松下律子(10)

「だから多分きっとこの時間辺りだろうし、そして面倒だからホテルからは出ずに……
 それにアナタ、いや、松下さんだったらこのイタリアンレストランを選ぶのかなぁって?」
 と、彼は自分の推理のタネ明かしを話してきた。

「ふうぅん、そうなんだぁ…」
 
 その推理はほぼ外れではなく、いや、ほぼ当たりなのだが…

「はい、そうなんですよ、で、その通りに当たっての…今があるわけでぇ」
 と、彼は今度は満面の笑みを浮かべてくる。

「でも、それは一流株式トレーダーの読み、推理っていうよりもさぁ…」
 わたしは反撃をしていく。

「それは一流株式トレーダーじゃなくてさぁ…
 一流ストーカーの読みといえるんじゃないのかなぁ…」

「えっ、あっ、い、いや、そ、それは」
 そのわたしの反撃はこの一撃で、彼、青山一也を撃墜したようであった。
 
「だってそうですよねぇ………」

 ……もちろん今夜の約束なんてしていないしぃ…
 ただ、ただ、たまたまこのホテルに泊まるってバレちゃった、だけだしぃ…
 それだけなのに、勝手にわたしの行動を推理して一か八かのヤマを張ってぇ…
 このレストラン前でわたしを待ち伏せしていた…

「…って事にもなりますわよねぇ…」

「あ、いや、そ、それは………」

「ううん、立派なストーカー、ストーキングの待ち伏せですよねぇ」
 このわたしの言葉は一撃どころか、メガトン級の爆弾的な威力があったみたいで…

「そ、それは………」
 彼は一気に沈黙、いや、撃沈してしまったようである。

 だが、わたしのこの言葉は、あくまでも予防線の意味でもあり…
 ましてや、ストーキング等とは、いや、そこまで不快感的には思ってはいない。

 むしろ、少しだけ楽しく、いいや、少しだけ心の昂ぶりを感じていたのだ…
 だって、やはり、一人での食事はなんとなくつまらなく、ううん、本音は寂しいから。

 それに彼、青山一也という男に…
 ある意味オトコとしての興味と、そして今後のわたしと彼、大原浩一常務の片腕的な武器としての興味もあったから。

 そして、今後、本社に於いて、共闘する同志となり得るはずたがら…
 ないがしろにはするつもりもなかったからである。

 それに男としての興味も…

 少しあったから…



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