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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

 14 うらやましい…

 そしてそんな強い警戒心から、二人の関係は逢瀬といえる様な関係に近くなり…
 世間の目を気にするが故に、夜、ホテルでの逢瀬へと化していってしまっていったのだ。

 だけど本音のわたしの想いの気持ちは…
 ホテルだけではなくて、昼間に正々堂々と腕を組んで街中を歩きたい…
 ショッピングをしたい…
 食事をしたい…
 旅行に行きたい…
 等々の想いの欲求が高まり、我慢をしてきていたのである。

 また反面…
 元々、わたし自身がキャリア志向でもあったから、出世に伴い彼との関係が万が一にでもバレてしまったならば…
 この成績評価の正当な出世ではあるのだが、異例のスピードのせいもあり、あっという間にスキャンダル的な酷評、つまりは全ては上司である彼による出世であろうという…
 破滅的な噂に潰されてしまうのではないのか?
 そんな怖さが常に付き纏ってもいたのだった。

 だから彼の愛情は揺るぎなく信じてはいるのであるが…
 羨ましいのである。

 新潟出張…
 例え、いや、本当に旅行とかではなく仕事なのであるのは分かっているのだが、正々堂々と二人で出掛けられているのだ。

 おそらくは新幹線での道程ではあろうが…
 二人きり、正々堂々と到着までの間、何かしらの会話をしている、いや、必ず仕事以外の内容の話し等をもしているはずなのである。

 それに常務と秘書なのだから…
 正々堂々と新幹線の座席に並んで座っていても誰が見ても変には思われない。

 だって…
 そんな事さえわたしはした事がないから。
 
 唯一あるのが、付き合い初めの頃に一泊で『夢の国』に行ったのみであるから…

 だからわたしはただ単純に…
 うらやましいのだ。

 だけど…
 わたしは違う意味でのもう一つの違和感をも自覚していた。

 それは…

 こんな、この想いに対しての違和感…

 やはりわたしは変わった、いや、変わってきている、ううん…

 普通の女、オンナになってきているみたい…

 それも彼、大原浩一を愛するという想いの昂ぶりと自覚によって…

 わたしは普通の女へと変わっているみたい…


「……室長ぉ、ゆかり室長ぉ…」

「は、え?」
 そんな自身の揺らぐる想いを逡巡していると、そんな越前屋さんの声で…
 ハッと我に返った。

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