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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

 185 レストランでの会話(4)

 そんな田中課長の魅力的な表情の変化にわたしはつい、ドキンとしてしまい、そして…
 この田中恵子秘書課課長という存在感と人柄を改めて再認識をする。

 もっとお高い、気取った感じなんかと思っていたのに、こんなに魅力溢れる人柄なんだなぁ…

「そさしたらさぁ、新しい本社からの通達でさぁ、もう松下さんと大原常務のワンセットが決まってるってさぁ…
 松下さんは元々大原常務を知っていたのねぇ?」

「え?」
 この彼女の言葉から伝わってくる情報、つまりはニセでウソの経歴と経緯にまた少し慌ててしまうのだが…
 でも、もう、わたしの知らない、いや、わたし自身の本当の経歴を隠し、常務秘書就任を必然的に運ぶ流れの為の本当に全くのニセでウソの経歴情報の傾向はだいたい把握できてきた。

「だってほらぁ、大原常務の就任に合わせてのニューヨークからの帰国異動なんでしょう?」
 という彼女の言葉から…
 確かに、第三者から見たらこのニセでウソの経歴からのこの大原常務秘書就任のタイミングの一致からはそう想像しやすいはず。

 だから、つい…
「いえ、あ、お名前だけは知ってはいましたが…
 それに元々、このタイミングでわたし自身が東京への帰国異動を希望していましたので…」
 と、自分自身でも驚くほどスラスラとウソの話しが口から溢れ出てきたのである。

「えぇ、そうなんだぁ」

「あ、はい、ちょっと個人的な事情がありまして異動願いを出してはいたんです」
 自分でもビックリしていた…
 わたしにもこんな一面があるのかと。

「なんだぁ、タイミングが良かっただけなんだぁ」

「はい、そうみたいです、でも、大原常務の専属秘書になれてラッキーでした」
 これも、こんなウソを軽く言える自分に驚いていた、そして、そんな自分の変化にも…
 いや違う、そのわたし自身の変化の起因になんとなく心当たりが、ううん、その想いが急に奥深くから浮き上がってきて心が騒めき始めてきたのである。

 それは…

 やはり、さっきの彼とのセックスの快感と絶頂感により開きかけ、顔を覗かせてきたナニか…

 いや、つまりは…

 もう一人の自分、いや、心の奥深くに隠していたはずのもう一人の、ううん、違うかも…

 それは隠していたはずの本当の自分自身という存在…



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