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シャイニーストッキング

第16章 もつれるストッキング5  美冴

 13 シンパシー

 第15章 もつれるストッキング4       律子とゆかり 174 律子の存在感の大きさ
 P2632~からの続きとなります。

 入江和夫人事部長と、有名な銀座のステーキハウスで食事を嗜みながら…
 今日一日の、様々で、予想外で、ある意味衝撃的な出来事を回顧し、逡巡し…
 また、この彼の有能さと裏の無さから抱ける、将来の片腕となる期待感にも心を昂ぶらせ…
「いやぁ、あの松下秘書さんの、あの、黒ストッキング堪らないっすねぇ…」
 という、さっきの律子に対する賛辞…
 それはおそらく私とある意味同類の輩であろうと…
 つまりは、ストッキングフェチという性癖嗜好のシンパシーの思いも感じていた。

 しかし脳裏には、その黒ストッキングという言葉から、さっきの律子の姿を通り越し、いや、透かして…

 黒ストッキングの代名詞である存在感…

『黒い女』
 いつも全身黒い服を纏い、黒いヒールを履き、真夏だろうが一年中黒いストッキングを穿いていた蒼井美冴…
 彼女の姿が脳裏いっぱいに浮かんできたのだ。

 そう、私は彼女の黒ストッキングの妖艶さと魅惑な艶やかさに魅了されていた…

 いや、今も…

 いいや、もう今は『黒い女』ではなく…
 『黒くない美しい女』となって、未だに私を魅了し、心の奥深くに潜み、潜ませ、隠している存在。

 蒼井美冴…

 佐々木ゆかり、松下律子に次いで、私の心を魅了し、揺らがせる三人目の女。

 黒いストッキングの妖艶さは…
 美冴かもなぁ………

 ブー、ブー、ブー…………

 私は、将来の部下になるかもしれないであろう存在の入江くんにすっかり油断して、惚けた想いを浮かべていると…
 入江くんの携帯電話が着信した。

「あ、妻からだ、すいません失礼します…」
 そう断り、電話に出る…

「うんそうか、わかった、なるべく早く帰るから」
 ステーキハウスの鉄板前のカウンターに並んで座っていたから、嫌でも会話は聞こえてしまう。

「実は妻が………」
 その電話は…
 奥さんが二人目を妊娠中で、悪阻が酷くて帰ってきてほしいとの事であった。

「いや、それは大切にしないと…」
 どうせ、この後の山崎専務との銀座のクラブはさっきの成り行きからの誘いであったから...
 急ぎここでお開きにする。

 まだ時刻は、午後九時少し前…



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