シャイニーストッキング
第16章 もつれるストッキング5 美冴
20 いいわけ…
「えっ……
あ、あ、蒼井…くん……か?……」
だが、大原常務は…
この不意な声掛けに驚きはしたのだが…
いや、もしかしたらわたしがここに居ることを、予想していたのかもしれない。
「ずいぶんと、大きなため息ね…
こんばんは…………大原常務さん…………」
また、わざと少し嫌みに、少し意地悪気味に、続けたのだが…
いちおうそんな驚きの声を漏らしはしたのだが…
このわたしを見る彼の、大原常務の目からは、それほどの驚きの色が見えなかったからだ。
「あ、あ、蒼井くん、い、いや、そ、それは、そのぉ、な、み、美冴くん…」
そしてそれよりも、わたしのこの嫌みな意味の方に反応しているようであった。
そう、この嫌みと意地悪な気味の意味、正体は…
そもそもの、今日の常務室での対峙の時の、あの疑惑の…
いや、松下秘書との疑いようのない不貞の露わと顕れの動揺と、その慌てぶり。
そして、それが…
今夜のわたしの『ひがみ』という、自分自身の心の小ささと穢れを、嫌が応もなく自覚し、卑下してしまう、心の波紋のきっかけとなったから。
そう、そもそもが…
「まったく………」
あなたのせいなのよ……
と、わたしはその想いを目に込め、彼を見つめた。
「あ……い、いや…………」
そんな、その想いは通じたようだ…が…
『え、そうなの…』
もしかしたら、それを伝えたくて…
いや、わたしに言い訳したくて…
わざわざここに、この店『波道』に来たのか?
『なぜここに?』
わたしはそう思い…見つめる。
「あ…たまに…い、いや、あれから何回か…通ってるんだよ」
なぜか、そんな言葉に出さないわたしの想いが通じるみたいで、必死に話してくる。
あれから…
それは、わたしが『黒い女』から覚醒したきっかけの夜…
多分、それは、不思議な導きによる偶然の逢瀬…
そう、おそらくゆうじの残穢の導き…
「少し時間が空いたり、小腹が空いた時にさ…
うん、たまにね、な、何回か…さ…」
わたしは、そんな彼の言い訳気味な話しを軽く聞き流し…
「ふーん………」
肘を付き、横目で彼を見る…
ゆうじと同じ銘柄のタバコの煙がゆっくりと揺らぎながら漂い…
その匂い、いや、香りが鼻孔を刺激し…
ゆうじが…
そこに居る...
「えっ……
あ、あ、蒼井…くん……か?……」
だが、大原常務は…
この不意な声掛けに驚きはしたのだが…
いや、もしかしたらわたしがここに居ることを、予想していたのかもしれない。
「ずいぶんと、大きなため息ね…
こんばんは…………大原常務さん…………」
また、わざと少し嫌みに、少し意地悪気味に、続けたのだが…
いちおうそんな驚きの声を漏らしはしたのだが…
このわたしを見る彼の、大原常務の目からは、それほどの驚きの色が見えなかったからだ。
「あ、あ、蒼井くん、い、いや、そ、それは、そのぉ、な、み、美冴くん…」
そしてそれよりも、わたしのこの嫌みな意味の方に反応しているようであった。
そう、この嫌みと意地悪な気味の意味、正体は…
そもそもの、今日の常務室での対峙の時の、あの疑惑の…
いや、松下秘書との疑いようのない不貞の露わと顕れの動揺と、その慌てぶり。
そして、それが…
今夜のわたしの『ひがみ』という、自分自身の心の小ささと穢れを、嫌が応もなく自覚し、卑下してしまう、心の波紋のきっかけとなったから。
そう、そもそもが…
「まったく………」
あなたのせいなのよ……
と、わたしはその想いを目に込め、彼を見つめた。
「あ……い、いや…………」
そんな、その想いは通じたようだ…が…
『え、そうなの…』
もしかしたら、それを伝えたくて…
いや、わたしに言い訳したくて…
わざわざここに、この店『波道』に来たのか?
『なぜここに?』
わたしはそう思い…見つめる。
「あ…たまに…い、いや、あれから何回か…通ってるんだよ」
なぜか、そんな言葉に出さないわたしの想いが通じるみたいで、必死に話してくる。
あれから…
それは、わたしが『黒い女』から覚醒したきっかけの夜…
多分、それは、不思議な導きによる偶然の逢瀬…
そう、おそらくゆうじの残穢の導き…
「少し時間が空いたり、小腹が空いた時にさ…
うん、たまにね、な、何回か…さ…」
わたしは、そんな彼の言い訳気味な話しを軽く聞き流し…
「ふーん………」
肘を付き、横目で彼を見る…
ゆうじと同じ銘柄のタバコの煙がゆっくりと揺らぎながら漂い…
その匂い、いや、香りが鼻孔を刺激し…
ゆうじが…
そこに居る...
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