シャイニーストッキング
第16章 もつれるストッキング5 美冴
22 スイッチ
タバコの煙がゆっくりとわたしに纏わり、包み込み…
ゆうじと同じ匂い、いや、この存在感が鼻孔を伝ってわたしの中に入り込む。
そして心に染み込み、まるでゆうじとひとつになって………融けていく。
「………ふぅぅ……………」
心が融けて、蕩けて、しびれ…
目を閉じ…
小さく吐息を漏らす…
ドキ…
ドキ…ズキ…
ズキズキズキ…………
この心の高鳴りがゆっくりと昂ぶり、疼きに変わってきた。
「あ…な、なぁ…」
すると傍らの彼が…
「…………え…」
わたしは片肘をついたまま、ゆっくり目を開き、横目で彼を見る…
「あ、あの…後……さぁ………」
「………え…あの後って?……」
「あ、いや、だから……………」
彼は、常務室を去ってからのわたしたちを、いや、ゆかりさんの様子を訊きたいのだろうが…
きっと、この煙に融けて恍惚気味に静かに浸るわたしの様子を察し、云い淀む。
「ふぅん………」
と、彼の云わんとする意味を察したわたしは、あえて、そう、敢えて…
冷たい目で見つめ、意思悪気な声音で囁く。
「あ……い、いや……ほら…」
その必死ないいわけに…
「………………………」
わたしは…
『まったく…
そんな狼狽えるくらいなら、もっと堂々としてれば良かったのに…』
その意を込め、冷たく見つめる。
「あ……………………」
彼にその意が伝わったのだろう、萎縮したかのように下を向く。
まったく………
すると『ひがみ』というさっきの感情がまた、再び甦り…
それと同時に…
ズキ…ズキズキ…ズキズキズキ……
と、心のスイッチが入ったかのように、自律神経の不惑な高鳴りと疼きの衝動が、また再び、起きたのだ。
もう治ったんだと思っていたのに…
あっ…
すると突然煙が目に滲みて、一滴の涙がスーっと頬を伝ってきた。
それは、まるで、ゆうじからのシグナル…
まったく……
ズキズキズキズキ………
ねぇ、そうなの…
ゆうじ………
タバコの煙がゆっくりとわたしに纏わり、包み込み…
ゆうじと同じ匂い、いや、この存在感が鼻孔を伝ってわたしの中に入り込む。
そして心に染み込み、まるでゆうじとひとつになって………融けていく。
「………ふぅぅ……………」
心が融けて、蕩けて、しびれ…
目を閉じ…
小さく吐息を漏らす…
ドキ…
ドキ…ズキ…
ズキズキズキ…………
この心の高鳴りがゆっくりと昂ぶり、疼きに変わってきた。
「あ…な、なぁ…」
すると傍らの彼が…
「…………え…」
わたしは片肘をついたまま、ゆっくり目を開き、横目で彼を見る…
「あ、あの…後……さぁ………」
「………え…あの後って?……」
「あ、いや、だから……………」
彼は、常務室を去ってからのわたしたちを、いや、ゆかりさんの様子を訊きたいのだろうが…
きっと、この煙に融けて恍惚気味に静かに浸るわたしの様子を察し、云い淀む。
「ふぅん………」
と、彼の云わんとする意味を察したわたしは、あえて、そう、敢えて…
冷たい目で見つめ、意思悪気な声音で囁く。
「あ……い、いや……ほら…」
その必死ないいわけに…
「………………………」
わたしは…
『まったく…
そんな狼狽えるくらいなら、もっと堂々としてれば良かったのに…』
その意を込め、冷たく見つめる。
「あ……………………」
彼にその意が伝わったのだろう、萎縮したかのように下を向く。
まったく………
すると『ひがみ』というさっきの感情がまた、再び甦り…
それと同時に…
ズキ…ズキズキ…ズキズキズキ……
と、心のスイッチが入ったかのように、自律神経の不惑な高鳴りと疼きの衝動が、また再び、起きたのだ。
もう治ったんだと思っていたのに…
あっ…
すると突然煙が目に滲みて、一滴の涙がスーっと頬を伝ってきた。
それは、まるで、ゆうじからのシグナル…
まったく……
ズキズキズキズキ………
ねぇ、そうなの…
ゆうじ………
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える