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シャイニーストッキング

第4章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長

 103 判明

「ま、いいか、大原くんならな…」 

 山崎専務はそう呟き、そして、ふと、苦笑いをしながら話しをしてきたのである。


 それは…



「実は…」

「甥っ子なんだよ…」
 ニヤリと笑う。

「あっ…」

 甥っ子なんだよ…
 と、そう山崎専務が言った瞬間に、私はハッと閃いたのだ。

 あっ…

 何のヒントも、情報も全く示されなかったのだが、なぜか、ハッと閃いたのである。


「た、武石健太っ…」

 私は思わずその閃きを呟いたのだ。

「うむ…」
 山崎専務はニヤリと笑い、頷く。

 やはり…
 私は今日の昼間、一瞬だがこの武石健太と、越前屋朋美の二人の顔が浮かんだのだが、まるで山崎専務との接点が想像もつかなかったので、早々に二人の存在は消去したのだ。

 だが、甥っ子とは…

 苗字も違うし、まるで想像もつかなかった…



「弟の息子でな…」
 山崎専務の実弟の息子なんだそうである。

「実は約5年前に弟は離婚して、奴は、健太は…」
 別れた弟の妻に引き取られ、その元妻の旧姓に変わったのだが…

「私には一人娘しかいないもんだから、弟と別れてからも私は健太を可愛がっていたんだ…」
 
 …だが、やはり弟と別れたから弱冠、疎遠にはなってしまった。
 そしてそう、約半年前位かな、偶然、本社の玄関前でばったり、偶然、健太に会ったんだよ。
 そしたら自分の力で、我が社に自力で入社し、なかなかの営業実績を上げてキャリアアップしていたという訳さ、ほら、少し疎遠になっていたから入社していた事さえ知らなかったんだ。
 疎遠気味になって、その間数度程は顔は見たが、我が社に入社したことは本人が話してこなかったから、私は本当に知らなかったんだ。
 ところが、そう、三カ月前位かな、突然私を訪ねてきて、
 この『新規事業プロジェクト』に入れて欲しいと頼んできたんだ。
 どうやら例のあの女部長の大学時代からの後輩だというし、その大学時代から彼女の事を尊敬していたから、是非、彼女の元で仕事がしたい…と、言ってきたんだよ。

 そこで私は奴の、健太の調査をすると、実に優秀で、実力で既に総合職の地位にいた、だから私は、まあ…

「色々と都合が良いかな、という意味も含めてさ、今回送り込んだって訳さ…」



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