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シャイニーストッキング

第4章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長

 106 海風が舞う

「ま、ママがそうならな…」
 ママがいいならいいんじゃないか…
 慌ててそう繕ったのである。

 なぜかママは、いや、山崎専務もなのだが、全面的に律子の味方なのである。
 私も内心はこの律子の魅力には溺れているようなモノなのであるから、悪い気はしないのだが、一つだけ、一つだけ疑問があるのだ。
 
 一つだけ疑問があったのだ、それは…

 なぜ、律子は、こんなにも、私に惚れ込んでくれるのか…
 と、いう疑問である。

 こんな私みたいなオジさんの一体どこがいいのだろうか…
 これは律子と関係を持った最初からの大きな疑問なのであり、私の中の律子七不思議の一つでもあるのだ。

「そうだ大原さん、海に行きましょうよ…」
 律子はそう云って席を立った。

 この中華街から海側の山下公園までは徒歩でも15分くらいであった、私と律子は歩いて山下公園へと向かったのだ。

 折しも今夜は台風が接近しつつあり、海風が生暖かい、そして海独特の潮風がやや強く吹き抜けていた。

「うわぁぁ、綺麗…」
 律子は私に腕を組み、体を預け、横浜の夜の海を眺めて感嘆の声を上げる。
 目の前には山下埠頭の桟橋の灯りが、みなとみらいの近代的なビルの灯りが、遠くには横浜ベイブリッジが見えていた。
 時折強く吹く、生暖かい潮風が律子のショートの髪を撫でていく。

「うん、綺麗だが、律子の部屋の夜景も綺麗じゃないか」
 私はそう呟いた。

「ええー、もう、大原さんは、ロマンチックじゃないんだからぁ…」
 風が、この海風が違うんです…
 そう律子は膨れ顔して私を見る。

 うわ、なんて…

 その膨れ顔が、また、魅惑的で可愛いのだ、そして私は思わず見とれてしまう。

「…して…」

 やや強い海風でよく聞こえなかった。
 すると律子は私にカラダを預け、あの濡れた、艶やかな魅惑的な唇を寄せてきたのである。

「キス…して…」
 今度はちゃんと聞こえた。

 抱き合いながら唇を交わす私達を海風が巡り、舞っていく。

 私はゆかりにもない、ましてや美冴にもない、この律子の甘い、若い、そして魅惑的な艶気の魅力に魅了され、心が震え、いや、蕩けていくような感覚に襲われていた。

 この魅惑的な艶気の魅力にとても我慢はできない…

「今すぐ抱きたい、したい…」

 強い海風が舞っていた…





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