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シャイニーストッキング

第5章 絡まるストッキング4 和哉と美冴1

 90 5年前の濃密な時間

 5年前のあの頃…

 そして5年前のあの時から、まだまだ僕の時間は続いていた…

 あの夏体験した鮮烈な思いや、あの時の出来事は5年後の今でも鮮明に記憶している、いや、忘れることなんて出来やしない。
 
 今こうしているのもあの頃からの流れの、あの時から始まった二人の濃密な時間の延長のはずなのだから…

 そして、あれから先への流れの延長へと繋がり、続いて行くのだと思っていたのだ。

 そう、あの時は…

 あの夏は…

 だが、儚く、脆い時間だったのだ…

 あの夏の日の、あのホテルでの別れが最後になってしまった。
 まるで失踪の如くに美冴さんは突然姿を消したのである。

 そして5年間という時間が流れ、過ぎていった。
 だが、しかしまた、美冴さんは突然姿を現したのだ。
 
 僕の中の、止まっていた時間が、また、再び動き始めたのである。

 5年間…

 僕には長い時間だった。
 17歳の高校2年生が、22歳の大学4年生になっているのだ。
 しかし、僕の中の時間は、5年前のあのホテルのドアを閉めた時から止まったままなのである。

 あの時から…


 だが、突然姿を現わした美冴さんもあの時に時間が止まったかのように、全く変わってはいなかった。

 いや、昔より、もっと魅力的になっていた…

 この5年振りの再会は奇跡なのだろうか、いや、奇跡ではなく、必然的な流れなのである。

 美冴さんの実家近くの駒澤大学、そしてその近辺エリアのこのファミレスでの再会…

 これは奇跡ではなく、必然的なのである。

 美冴さんが残してくれた数少ない、希少なピースの点と点とが繫がっただけなのだ…





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