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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

23 青春の時間

 今夜、この和哉を相手に、淫らなスイッチを入れる訳にはいかないのである…

 万が一にもダメなのだ…

 身も蓋もなくってしまい、更に和哉を苦しめる事になってしまうから…

 だが、和哉はわたしの微妙なこの変化に、微かに気付いたようで、また、少し動揺している感じがする。
 でも今は訊かずにはいられないのだ。

「じゃあ、今は…」
 素朴な疑問を訊いてみる。

「あ、い、いちおう彼女がいます…」
「ええっ、そうなんだぁ…」

 彼女がいるんだ…

「は、はい…」
「ちゃんと青春はしてるんだねぇ…」
 思わず嬉しくなってくる。

 よかった、彼女がいるんだ…

「あ、は、はい…」
 和哉は頷く。

「よかったわ…」
 わたしは心からそう言ったのだ。

「よかったわ…」

「えっ…」
 不思議そうな顔をしてくる。

「だって…
 ずうっとこの大学生活中、わたしを探してくれていたんでしょう…
 せっかくの、貴重な大学生活が…
 和哉の青春が…
 台無しになっちゃっていなかったのかと心配していたのよ…」
 わたしは本気で心配していたのである。

「えっ、そ、そんな…」
 思わず和哉は感嘆の声を漏らす。

「うん、昨夜、電話を切ってから本当に心配していたの…
 だって、ずうっと探してくれていたんでしょう…
 だから駒沢大学入学で…
 だからあのファミレスで…」
 と、言ったのだ。

 すると和哉は、そんなわたしの言葉に感動をしているようであった。

 
 和哉はわたしを追い求めて駒沢大学に進学をし、昔と同じチェーン店のファミレスでバイトを続け、そして大学の近くの街に住んでいた…
 こんな和哉の思い切った行動を否定する事など出来やしない。

 だけど…

 わたしを探し過ぎて、和哉の貴重な大学生活を…

 青春の時間を…

 無駄にしてちゃっていたのではないのか…
 と、昨夜本気で、電話を切った後に色々と考え、そして心配をしていたのだ。

 だが、彼女がいるという…

 それも、あのストッキングラブの嗜好を埋める彼女がいると…

 それには本当に安心できたのだ。

 その彼女がいるという事実は、大事な大学生活をわたしを探すという事だけの為に使っている訳ではない…
 と、いう紛れもない証拠といえるからである。



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