無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　24　奇跡的な出来事

「だって、この大学生活の四年間、いや、三年半になるか…
　ずうっとわたしを探してくれていたんでしょう…」
　わたしはしみじみと言ったのだ。

「は、はい、ごめんなさい…」
「えっ、なんで和哉が謝るのよ…」

「だって…
　まるでストーカー行為みたいじゃないですか…
　三年半も、いや、あれからだから五年間も探していたんですよっ…
　気持ち悪くないんですかっ…」
　和哉は一気にそう言ってきたのである。

「ううん、気持ち悪くなんかないわよ…
　だって…
　だって…
　和哉のことが大好きだから…
　大好きな和哉にずうっと探してもらっていたって分かった時に、凄く嬉しかったわ…」
　と、そう言ったのである、そして…

「あのファミレスで、夜中に再会した時は、本当に驚いてしまって…、思わず逃げちゃったけど…
　夜中に一人であの再会のことの意味を考えて、その意味が分かった時に本当に嬉しかったのよ…」
　わたしは、そう続けて言ったのだ。

「あの時に…
　あの夜に…
　和哉と再会できて本当によかった…」
　心からそう思っていた。

「ああ、そんな…」
　このわたしの言葉に和哉は感動したらしく、泣きそうな目をしてきたのである。

「う、嬉しいです…
　そんな美冴さんの言葉に、この五年間の思いが報われた様な感じがします…」
　今にも涙が溢れそうであった。

　わたしだって、本当に、本気に、嬉しかったのだ…

　あの再会の夜は本当に驚いてしまった、だが、あの夜、よくよく考えると、とんでもない事なんだ、と、本気で理解できたのである。
　そして、あの再会だって奇跡的な出来事なのであった。

　だって東京都民は約1350万人もいる…

　確率にしたら、1350万人分の１なのであるのだ…

　だから、不思議な見えない蜘蛛の糸、とか、神様の悪戯等とつい思ってしまいがちであるのだが、もの凄い確率であり、本当に奇跡的なのである。

　だから、考えれば考えるほどに、嬉しい奇跡なのであったのだ…

　だから和哉が可愛くて…

　愛おしくて…
　大好きで堪らなくなっていた。

　そして甥っ子の康っちゃんまでもがお世話になっていたのだ。
　これは本当に、奇跡的であり、運命的であり、不思議な力の導きだとしか考えられないのである…