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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 39 偽善者

 ヤリたいんだろうっ、和哉…

 もう一人の別人格の自分がそう囁いたのだ、いや、違う。

 実は…

 実は、これが僕の本当の想い…

 本当の自分の想いなのだ…

 別人格なんかじゃない、この想いが、本当の、本音の、自分の本当の心の慟哭の想いなのである。


 美冴さんとヤリたい…

 もう一度、いや、またセックスしたい…

 あの美しい艶々な、魅惑的な、ストッキング脚を触りたい…

 舐めたい、しゃぶりたい…

 匂いたい…

 とにかくヤリたいのだっ…

 僕は心の中でそう叫んでいた。

 そして残りのアイスコーヒーを一気に飲む。
 コーヒーの苦味が喉元を流れ落ちていく。
 その苦味により少しだけ冷静になれたのだが、逆に、冷静になればなる程にその心の渇望の想いが、本当の自分が、心の中で更に余計に叫んできたのである。

 心が激しく慟哭してくる。


 あの美しい、妖艶な、僕にとって初めての女性であり、あの五年前から現在に至るまでずうっと想い焦がれてきていた、僕にとってのセックスシンボルである美冴さんを…

 美冴さんの艶々な魅惑的なストッキング脚を…

 また再びこの自らの手に触れたい、抱き締めたいのである。

 満足…

 いや、全然満足なんかしていない。

 想いが遂げられた…

 この五年間の想い、心の焦燥感、迷走感はそんな軽くはない。

 本当は…

 本当は、また、ヤリたい、セックスしたい、抱きたいのだ…

 こんなきれい事で終われる訳がないんだ…

 そう想い、僕の心が激しく騒つき、波打ち、揺れ動いてきていたのである。

 そして、さっきまでのきれい事で終わらそうとした自分の心に対して、嫌悪感までもが湧き起こってきていた。

 偽善者め…

 きれい事ばかり…

 和哉、お前は、あの後から、美冴さんを知った後から、違う女性を抱けば抱くほどに、ますます美冴さんの魅力を知り、苦しみ、求め、心から彼女を渇望してきていたんじゃないのかっ…

 朱美さんにも、あの高3の時の彼女にも、そしてこの大学時代のファミレスで知り合った彼女達にも、そしてあの今の彼女の真実にも、抱けば抱くほどに、ヤればヤるほどに美冴さんをより意識してしまい、心が苦しみ、渇望していたくせに…


 偽善者め…




 僕の心が、そう叫んでいた…




 


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