
シャイニーストッキング
第8章 絡まるストッキング7 本部長大原浩一
9 目の光り
「よし、じゃあ決まりだ、午後にハイヤーを回すから」
と、松本副社長はポンと手を打つ、そして秘書を呼ぶ。
「じゃあ大原くん、彼女に自宅の説明をして出発までの打合せをしてくれ」
そう言い秘書を指差した。
「え、は、ハイヤー…ですか」
「ああ、そうだよ、君はもう役員なんだから遠慮するな…」
松本副社長は微笑みながらそう言い、そして私の目を見つめ
「こういう世界なんだから」
と、言った。
うわ…
私はその言葉を言った瞬間の松本副社長の目の光りにゾクッとしてしまう。
なぜなら、その一瞬ギロリと輝いた目の光りは、今迄の穏やかな松本副社長の目とは真逆の鋭い輝きであったのた。
これが…
これが、彼の本当の心の光りなのか…
野心…
野望…
権力欲…
その目の輝きが私にそう訴えてくる。
そうか、そうだよな…
そんな欲望が無ければ、ここ迄の地位になんて駆け上がれる訳が無いんだ…
私は、いつも穏やかな微笑を浮かべている松本副社長の表情に騙されていた。
いや、騙されていた訳ではない。
私の力不足なのだ…
まだまだ人というモノを見抜く力が無い、甘い、という事なんだ…
サラリーマン世界の、いや、権力の世界の奥深い、そして限りなく深い闇を一瞬だけ垣間見た気がしたのである。
「大原様こちらへ…」
私は秘書に促された。
「じゃあ大原くん、今夜な…」
「は、はっ、失礼します」
私は直立不動となり、そう返答して秘書に促されるままに副社長室を出る。
すると山崎専務も一緒に出てきて、ポンと私の肩を叩いてきたのだ。
「松本副社長は君を気に入ったみたいだ…」
そう言ってきた山崎専務の目は正に私の後見人としての目といえる。
ああ、これで、完全に取り込まれてしまった…
松本副社長の直属の山崎専務…
そしてその直下の私、と、いう派閥の縦のラインの駒になったという事なのだ。
だが、あくまでも駒なのだ…
ダメならば…
しくじったならば…
失敗したならば…
簡単にクビを取られ、捨てられてしまう…
そんな駒に過ぎないのである…
今は…
まだ…
「よし、じゃあ決まりだ、午後にハイヤーを回すから」
と、松本副社長はポンと手を打つ、そして秘書を呼ぶ。
「じゃあ大原くん、彼女に自宅の説明をして出発までの打合せをしてくれ」
そう言い秘書を指差した。
「え、は、ハイヤー…ですか」
「ああ、そうだよ、君はもう役員なんだから遠慮するな…」
松本副社長は微笑みながらそう言い、そして私の目を見つめ
「こういう世界なんだから」
と、言った。
うわ…
私はその言葉を言った瞬間の松本副社長の目の光りにゾクッとしてしまう。
なぜなら、その一瞬ギロリと輝いた目の光りは、今迄の穏やかな松本副社長の目とは真逆の鋭い輝きであったのた。
これが…
これが、彼の本当の心の光りなのか…
野心…
野望…
権力欲…
その目の輝きが私にそう訴えてくる。
そうか、そうだよな…
そんな欲望が無ければ、ここ迄の地位になんて駆け上がれる訳が無いんだ…
私は、いつも穏やかな微笑を浮かべている松本副社長の表情に騙されていた。
いや、騙されていた訳ではない。
私の力不足なのだ…
まだまだ人というモノを見抜く力が無い、甘い、という事なんだ…
サラリーマン世界の、いや、権力の世界の奥深い、そして限りなく深い闇を一瞬だけ垣間見た気がしたのである。
「大原様こちらへ…」
私は秘書に促された。
「じゃあ大原くん、今夜な…」
「は、はっ、失礼します」
私は直立不動となり、そう返答して秘書に促されるままに副社長室を出る。
すると山崎専務も一緒に出てきて、ポンと私の肩を叩いてきたのだ。
「松本副社長は君を気に入ったみたいだ…」
そう言ってきた山崎専務の目は正に私の後見人としての目といえる。
ああ、これで、完全に取り込まれてしまった…
松本副社長の直属の山崎専務…
そしてその直下の私、と、いう派閥の縦のラインの駒になったという事なのだ。
だが、あくまでも駒なのだ…
ダメならば…
しくじったならば…
失敗したならば…
簡単にクビを取られ、捨てられてしまう…
そんな駒に過ぎないのである…
今は…
まだ…
