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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 18 ゆかりとの電話 ⑧

 だから…
 例えこうして直接逢えなくても、電話では密に連絡を取り、会話をし、声を聞き、訊いて確認をする…
 これはワイルドに尖って生きる、行くと決めても変えられない事の一つなのだ。

「あまり無理するなよ、それはお盆休み明けだっていいんだし…」
 そう、こうやって話して流れや勢いを止めたり、調整をする事も必要なのだ…

『あ、はい…
 なんか心配してくれてるみたいで嬉しいわ…』
「ばか、ゆかりのオーバーワークを心配してるんだよ」

『えっ…』
 そう即答すると一瞬言葉を詰まらせ、そして…
『ああん、早く、すぐにでも浩一さんに逢いたい、逢いたくなっちゃったわ…』
 と、少し潤んだ声で言ってきた。

 ゆかりが私のことを本部長ではなく『浩一さん』と呼んだ…
 これは彼女の想いの昂ぶりを意味する。

 普段の彼女は…
『誰が、どこで、わたし達のことを、見て、聞いているか分からないから…』
 と、いう理由と
『不意に油断して呟いてしまうかもしれないから…』
 と、いう二つの理由により私の本名を滅多に口にはしなかった。
 そして唯一、私の本名を口に、声に出す時は、ほぼベッドの上であり、しかも昂ぶりが最高潮に達する場面が殆どであったのである。

 まさか、それ程に昂ぶってるのか…

「ゆ、ゆかり…」
 そんな想いが湧き、私自身も少し心が揺れた、いや、そのゆかり潤んだ声に艶を感じてしまい、脳裏に彼女のあの妖艶な痴態が浮かんでしまったのだ。

『ああ、浩一さん、アナタに抱かれたい…』

 うわ…

 ドキドキ…
 そのゆかりの言葉に一気に心が昂ぶってしまう。

「あ…、う、うん…」

 最後に抱いたのはいつだった…

『明日の夜まで待てるかしら…』
 
 ドキドキ…

 そんな囁きの声にも艶気を感じてしまっていた。

 あっ…

 そして気付くと、勃起っている。

 ま、まさか…

 確かに抱いてはいないのだが、前回の逢瀬では急に生理になってしまったからと云って、やはりゆかりも口唇で愛してくれた筈であった…

 そしてつい先日にも同じように律子にも…口唇により愛してもらっていたのだ、だから性欲的には十分に満たされているのである。

 だが…

 この電話で…

 このゆかりの濡れた、艶気の、この声で…

 欲情を覚えてしまった…




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