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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 61 機転…

 いいよ、もうわかったから…
 話さなくてもういいよ…

 私はその想いを目に込めて、きよっぺを見つめながら口を塞ぐかの様にキスをする。

 もういいんだよ…

 するときよっぺの大きな瞳から再び涙がこぼれ落ち、キスしている唇に伝ってきたのだ。

 塩辛いキスとなった…

「ふうぅ…」
 そして彼女自ら唇を離してくる。

「ありがとう、優しいのね」
 そう指先で涙を拭いながら呟いてきた。

「いや、優しいとかじゃなくて…」
 もう、こうしてヤれたから、そしてひとつになれたからさ…
 と、言葉を返す。

「うん…あ、あ…りが…と…う…」
 なんとかそう言うと、大粒の涙を溢れさせてきた。
 
「お、おい、きよっぺ…」

「ご、ごめん…ひっ…ひっく…」
 堪え切れずに嗚咽を漏らす。

「あ…、ほら…、やっぱりさぁ…
 目が大きいと涙も大粒なんだなぁ…」
 と、そう言った。
 この流れを変えようと、なんとか機転を効かせたつもりの呟きである。

「…ひっ…ひっく……ばか…」
 少しだけ機転が効いたようであった。

「もおぉ…」
「鼻水も出てるよ」
 と、更に笑いながら呟く。

「あん、もう、ばか…」
 きよっぺは泣き笑いの顔になり、慌てて枕元のティッシュを引っ張り、鼻を拭う。
 なんとか機転効いて、雰囲気は変わったようであった。

 でも本当なのだ…

 未挿入で、ヤれていないとう事が本当に心残りであったし、ずっと心に引っ掛かっていたのである…

 だから本当に再会して、ヤりたい、したい、と本気で思っていたのだ。

 付き合っていた期間は、月に2、3回のペースで、彼女の部屋で手と、口唇でヤりまくっていたから、本当に、大人になってから、ずうっと心残りであったのである。

 でも今夜、長年の念願が叶って、こうしてヤれた、ひとつになれたのだ…

 それ以外の事は、今更、本当にどうでも良い事なのであったのだ。

「ねぇ、シャワー浴びない?」
 ようやく嗚咽が治まって、きよっぺは明るく、笑顔を浮かべてそう言ってきた。

 やはりきよっぺは、そんな明るい笑顔が似合う…

 そして、まだまだ熱い夜は続くのである。




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