
シャイニーストッキング
第8章 絡まるストッキング7 本部長大原浩一
83 律子との電話 ⑦
「13日の10周忌さえ終えれば…
私の役目は一段落するんだ、だが…」
私は迷いに、迷っていた…
『…そうですよね、ご親戚とか、身内とか、色々しがらみがありますものね…』
すると律子は、私の逡巡の間をそんな迷いに受け取ってくれた様で、そう返してくれたのだ。
「うん…、実はさぁ、田舎は田舎なりに色々あってさぁ…」
と、私は、咄嗟に律子の言葉に合わせたのである。
『なんかそういうのって…
面倒くさいですよねぇ…』
と、ため息混じりにそう呟いてきたのだ。
そしてそんな律子の言葉の響きからは、まるで昔に何か身内等でのトラブルでもあったかの様なリアルさが感じられてきたのである。
「そ、そうなんだよ、色々と面倒くさいよなぁ…
だけど、長男だからさぁ…」
と、そう含ませて言葉を濁す。
あぁ、さっきのゆかりとの電話といい…
なんだか急に、ウソがうまくなったみたいだ…
と、自虐の想いが湧いてきたのである。
そして心がザワザワと再び騒めいてきた。
『でしたら…あのぉ…
また明日の夜でも電話してもよろしいですか?』
と、ややトーンを落として訊いてきたのだ。
「あぁ、もちろんだよ…
それにもしハッキリ分かったら私からも電話するから」
私は調子良くそう言った。
その我ながらの不惑の調子良さに、心が更に騒めいてくる…
『え…』
そんな私の調子に律子は昂ぶったようであった。
『あ、はい…
なんか、ごめんなさい…』
と、謝りながら…
『でも…
どうしても…』
あなたに逢いたくて…
そう言ってきたのである。
「あ……う、うん」
あ、ああ…
私はそんな彼女の囁きに心が震えてしまう。
そして…
「私も…」
私も律子に逢いたいらさ…
そう返したのである。
それは本音…
本音であり、本当の…
心からの言葉である…
でも…
そう言ってしまった…のだ。
いや、無意識に…
その言葉が出たのだ…
嘘ではない…ウソなのである。
「13日の10周忌さえ終えれば…
私の役目は一段落するんだ、だが…」
私は迷いに、迷っていた…
『…そうですよね、ご親戚とか、身内とか、色々しがらみがありますものね…』
すると律子は、私の逡巡の間をそんな迷いに受け取ってくれた様で、そう返してくれたのだ。
「うん…、実はさぁ、田舎は田舎なりに色々あってさぁ…」
と、私は、咄嗟に律子の言葉に合わせたのである。
『なんかそういうのって…
面倒くさいですよねぇ…』
と、ため息混じりにそう呟いてきたのだ。
そしてそんな律子の言葉の響きからは、まるで昔に何か身内等でのトラブルでもあったかの様なリアルさが感じられてきたのである。
「そ、そうなんだよ、色々と面倒くさいよなぁ…
だけど、長男だからさぁ…」
と、そう含ませて言葉を濁す。
あぁ、さっきのゆかりとの電話といい…
なんだか急に、ウソがうまくなったみたいだ…
と、自虐の想いが湧いてきたのである。
そして心がザワザワと再び騒めいてきた。
『でしたら…あのぉ…
また明日の夜でも電話してもよろしいですか?』
と、ややトーンを落として訊いてきたのだ。
「あぁ、もちろんだよ…
それにもしハッキリ分かったら私からも電話するから」
私は調子良くそう言った。
その我ながらの不惑の調子良さに、心が更に騒めいてくる…
『え…』
そんな私の調子に律子は昂ぶったようであった。
『あ、はい…
なんか、ごめんなさい…』
と、謝りながら…
『でも…
どうしても…』
あなたに逢いたくて…
そう言ってきたのである。
「あ……う、うん」
あ、ああ…
私はそんな彼女の囁きに心が震えてしまう。
そして…
「私も…」
私も律子に逢いたいらさ…
そう返したのである。
それは本音…
本音であり、本当の…
心からの言葉である…
でも…
そう言ってしまった…のだ。
いや、無意識に…
その言葉が出たのだ…
嘘ではない…ウソなのである。
