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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 89 絶望の『望(のぞみ)』⑤

 それは私が高校1年の冬の時期であった…

 その前の秋の大会に控えの外野手としてユニフォームを貰い、来春のレギュラーを目指していた時期であった。
 私は通学時間中に、居眠り運転で突っ込んできた自動車による交通事故に巻き込まれ、座骨骨折という重症を負い、本格的な野球が出来ないカラダとなってしまったのである。

 それは、小学5年生から打ち込んでいた、青春の全てであり、それまでの学生生活の全て、そしてその当時の生き甲斐を一瞬にして失ってしまうという絶望に一気に堕ちた…
 と、いう事実であったのだ。

 そして約2カ月入院し、その後1ヶ月のリハビリを経て、なんとか通常に生活し動けるカラダに戻ったのは高校2年に進級した春先であった。
 だが、当時の私にはもう野球が再起不能という事実が、全ての夢も希望も失ったという事であり、高校にも通う気力も失せてしまっていたのである。

 そして、絵に描いた様に不良への道に堕ちていったのだ…

 地元では小学校時代から人気者であったから、不良仲間からも直ぐに歓迎され、仲間に入れた。
 そして当時は暴走族もまだまだ盛んであり、さっそく地元の暴走族にも入ったのだ。
 そこで高校入学で再会し、付き合いを再開したきよっぺと別れ、新たに不良仲間の一つ年上の彼女と付き合いを始める。
 そして春先から初夏の7月上旬位までは、本当に、そんな絶望からの排他的な想いでのヤケとなり、まともに高校にも通わなくなり、荒れに荒れた生活をしたのであった…
 の、だが、そんな自分を受け入れてくれる仲間は大好きではあったのだが、虚しい想いが、虚無感が常に心に付いて回ってきていたのである。

 暴走族として数回暴走行為も経験したのではあるが…
 つまらなかったのだ。

 不良仲間の彼女が直ぐに出来てヤりまくって、ヤらせて貰っていたのだが…
 あの最後までヤれなかったきよっぺとの様な昂ぶりは、直ぐに感じなくなってしまった。

 ただ、フラフラと駅前にたむろし、何をする訳でもなく彷徨き、バイクに乗る、そんな何の目的もない、目標もない、ただただ排他的な、虚無感の毎日に…
 飽き飽きしてきていたのであった。

 そんな絶望の毎日の、とある初夏の7月上旬位に、このノンこと、
『絶望の望(のぞみ)』と出会ったのである…

 




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