テキストサイズ

シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 88 絶望の『望(のぞみ)』④

『昔の仲間とは?』
「あ、うん、大学に入学してからはすっかり…」

『あ、そうよねぇ、大学入学してからよねぇ…』
 そうであった…
 私はこのノンとの付き合いも、大学に入学してからはすっかりと疎遠になり、いや、東京が楽しくて全く帰省ぜずに、彼女との付き合いは自然消滅的に終わったのである。
 あの当時は携帯電話等が無かったから、そうした自然消滅的な別れは意外に普通であったのだ。
 少し、そんな当時の事を思い出し、苦々しく感じてしまう。

『あっ、そうそう、ヒロさん覚えてるでしょう?』
 私は頷く。

『たまに、お客様で来てくれてるの』
「あ、ヒロさんかぁ…」

 ヒロさん…
 忘れはしない、大先輩である。

 昔の仲間…

 ヒロさん…

 私は約23年前の、あの当時に想いが還っていく。

 23年前…高校2年生、17歳であった。

 今、あの当時の頃を回顧すると
 『絶望』という文字しか浮かんでこないのだ…

 高校時代…私は高校野球の強豪高校で野球に打ち込んでいた。
 中学時代に野球で華々しく活躍をし、数十高校にも及ぶ全国からの野球強豪高校からスカウトが来たのであるが、一番近い地元の県立高校なのではあるが、当時の高校野球強豪高校に入学をしたのだ。
 それは、中学時代から尊敬し、憧れていた二つ年上の先輩がその高校にいたからであった。

 それがヒロさんであった…


 ヒロさんはその高校野球部で主将を務め、主力選手として大活躍をしていたのだが、3年の春先に大怪我をし、選手として活動できなくなったのだ、だが、ヒロさんはそんな絶望の大怪我にも関わらずにそれからは陰の存在に退きながらも、残念ながら準決勝で敗退はしてしまったのだが主将として見事にチームをまとめ、引っ張っていったのである。
 そして、私はそんなヒロさんの姿に更に尊敬の想いを募らせていたのであった。

 のだが…

 私が高校1年の冬の時期であった。







ストーリーメニュー

TOPTOPへ