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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 109 あれから…②

「うん、確かに『セカンドバージン』
 ってヤツだけど…」

 だけど…

 だけど、何だ…

 まだ、何か…

 まだ、何か、あるのか?…
 
 するときよっぺは私の胸元に顔を埋めてきながら
「あのぉ…、聞いても引かない?」
 そう囁いてきた。

「引く?、何、引かないって?」
 思わず訊き返してしまう。

 何だ、何なんだ?…

「うーん…
 どうしよう…
 あぁ、ごめんね、何かぁ変な話しななってきちゃったわねぇ」
 そう不惑な表情を浮かべてくる。

「変な話し…って
 そんな大丈夫だよ、気にしないで何でも話してくれよ」
 ちょっと想像が付かない。


「うん…」
 彼女はそう頷き、私の胸元に顔を埋め、しばし考え、そして沈黙していた。

「セカンドバージン…なの…」
 すると、ようやく顔を上げ、そう呟いてくる。
 
 そして…
「うんとね、確かにセカンドバージンなんだけどさ…」
「うん」
「セカンド…」
「うん」
「本当にセカンドなの…」

「え?…」

 そう言ってきたのだが、意味がイマイチ判らない…

「あの…ね
 セカンド…
 2…
 2番、2番目、2人目…なの」
 きよっぺの大きな瞳は、そう呟きながら涙を浮かべてくる。

「え、2人目って?…」

 何だ…

「こっぺが…」

 何だ…

「確かに、本当に…
 こっぺが…、本当に…」

 な、ま、まさか…

「こ、こっぺが、本当に、本当の…」

 ザワザワがドキドキに変わった…

「セカンドバージン…
 こっぺが本当に、本当の2人目の男なの…」

「えっ、あっ…」
 言葉が出なかった。

 え、な、何、何を…

 2人目って…

 いや、あまりの衝撃の告白で、絶句してしまった。

 本当のセカンドバージン…

 わ、私が、本当に、2人目の男って…

 そういうことなのか?…

 まさか、それは2人しか男を知らない、と、いう事なのか?…

 そしてそれは昨夜…


「うぅ…」

 きよっぺの大きな瞳からは涙がこぼれ落ちてきた。

 そしてしがみ付いてくる彼女の肩を抱き締めながら、あの頃の…

 そう…

 あの23年前の…

 別れることになったあの高校2年の春先の頃の事を、思い出してきていた…

 そう…

 あの絶望の、高2の春先を…

 17歳の絶望の春を…




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