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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 110 あれから…③

「ま、まさか、昨夜のアレが…
 オ、オレが2人目ってこと?」

 オレが2人目の男、2人目の性交した男っていう事なのだろうか?…

「う………ん」
 きよっぺは大きな瞳から大粒の涙を溢しながら頷いた。

「そ、そうなの…」
 私はその後、絶句してしまう。

 何をどう言ったらよいのか?…
 そしてどんなリアクションをしたらよいのか?…
 判らなくなってしまっていたのである。

「うぅ………」
 すると彼女は涙を溢し、私のカラダにしがみ付きながら顔を上げて見つめてきた。

「あの………さ」
 そして小さな声で囁くように話しをしてくる。

「あの…
 あの時こっぺと別れた、あの大学に入学してすぐの4月かな……」

 今から約23年前の4月下旬…

 それは、きよっぺが大学1年、私が高校2年の春先の4月下旬の頃であった。

 きよっぺはフェンシングの特待生で都内の某体育大学に入学したばかりの夢と希望に満ち溢れていた時期であり…

 そして私はその約半年前の初秋に、不慮の交通事故に巻き込まれ、野球選手としては再起不能の大怪我を負い、絶望と挫折に陥っていた、まるで正反対な、天国と地獄といえる時期である…

 私はその事故により、高校1年の秋、10月初旬からの約3か月間、つまりは12月いっぱい入院生活を送ったのだ。

 そしてその入院期間中、医師により野球選手としての再起不能を告げられ、絶望の真っ只中にいたのであった…

「こっぺ、大丈夫?」
 直ぐにきよっぺは私の交通事故を聞き付けてお見舞いに来てくれ、それからはほぼ週2回のペースで必ずお見舞いに来てくれたのである。

 最初の内は単純に彼女のお見舞いが嬉しく、ある意味、心の支え的にはなっていたのだが、時間の経過と共に少しずつ絶望感が増してきて…

 段々と彼女に八つ当たりをする様になっていってしまっていったのである…





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