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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 111 あれから…④

 最初の内は単純に彼女のお見舞いが嬉しく、ある意味心の支え的にはなっていたのだが、時間の経過と共に少しずつ絶望感が増してきて…
 段々と彼女に八つ当たりをする様になってしまっていったのである。

 オレはもうほぼ、いや、野球は絶望だ、もう夢も希望も、無くなった…

「こっぺ、元気出しなよ」

 だがそう言ってくるきよっぺは、東京の体育大学に特待生入学が決まって前途洋々じゃないか…

 完全にひがみ、嫉み、やっかみ、そして嫉妬であった。

 顔を見るだけでイライラしていた…

 優しい声を掛けられるだけで苛々していた…

 本当は心の支え的だったのに…
 心配そうな顔をされるだけで、爆発しそうな位に苛立ちを感じてしまっていたのである。 

「なぁきよっぺ…舐めてくれよ」
「えっ」
「アソコは元気なんだよ…」

「え、あ、うん…」
 それからは、きよっぺがお見舞いに来る度に、こうして舐めて、抜いて貰っていたのだ…

 今、考えれば酷い仕打ち、行為だと思うのだが、なにしろ当時は若かったのだ…
 そして16、17歳であったし、高校生活イコール野球…であったから、絶望のどん底に陥っていたのである。

 そしてきよっぺの優しさである…
 本当は嫌であったのだろうが、イヤな顔ひとつせずに、お見舞いに来る度にこうして舐めて、性欲と、苛立ちの捌け口になってくれたのであったのだ。
 そしてそれは退院しての自宅療養期間中の1月、2月いっぱいまでの間、週2回のペースを崩さずにお見舞いにかかさず来てくれ、そして甘えさせてくれたのである。

 後悔先に立たず…当時は何も考えられない程の、まだ子供だったのだ…

 そして一応勉強もまあまあの成績を収めていたし、県立高校であったから春休みに補習を受けて、落第せずに無事に高校2年生へと進級はできた。

 そして春を迎える…

 きよっぺはフェンシングのスポーツ特待入学であるから、春3月になった途端に東京で寮生活を始め、当然お見舞いには来なくなった。

 そしてこれが事実上の、自然消滅的な2人の別れとなったのである…

 私はその当時きよっぺの存在を失って、初めてその存在感の大きさに気付いたのではあるが、あとの祭りであったのだ。

 そしてその失意のままに私は野球部を退部して、不良の道へと陥っていったのであった…

 


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