
シャイニーストッキング
第8章 絡まるストッキング7 本部長大原浩一
144 偽りの飾り ①
いったい律子と幾夜の逢瀬を過ごしてきたのか…
本当に今更、訊くに訊けない。
ただ間違いなく分かっていることは律子に愛されている…
という事実である。
「シャワー浴びてくるね」
そんなこのリビングから律子との共通点の事を考えていたら、シーツ交換をようやく終えたきよっぺが寝室から出てきた。
「うん…」
「ああ、あまりにも何も無いリビングなんで呆れてるんでしょう」
すると、まるで私の想いを見透かしたかの様な言葉を言ってきたのである。
「え、う、うん…」
慌てて繕う返事をしたのだが、勘の良い彼女にはバレバレであった。
「花の一つも無い部屋だなぁって呆れてるんでしょう?」
自虐気味の笑みを浮かべてそう言ってきた。
「え、いや、あ…」
「ほら、もお、こっぺの顔にそう書いてあるわよ」
やはりバレバレであった。
「もう偽りの飾りなんて要らないの…」
するとボソッとそう呟いたのだ。
「え…」
偽りの飾りって…
「なんかさぁ、離婚に到るまでのこの10年間の家庭内別居でさぁ、すっかりさぁ…
心のお花が枯れちゃったみたいなのよねぇ…」
「え…」
「うん、出戻ってきた時にすっかり無駄なモノは捨てちゃったし、なんかもうお花だけじゃなくてさぁ、色々な装飾品を飾る気持ちも無くなっちゃったのよねぇ」
「そうなんだ…」
「うん、そうなの、それに一時期はお花とかは飾ったことはあるのよ、でもさあ枯らしちゃうのよ」
「………」
返す言葉が無かった。
「なんかぁ、直ぐお水上げるの忘れちゃって枯らしちゃうのよねぇ…
それにさぁ…」
きよっぺはそう言いながら、宙を見つめ、言葉を続けてくる。
「それにさぁ…
家庭内別居中に元旦那はさ、浮気してて、更にわたしの留守中にその浮気相手を連れ込んでたりしていたのよ…」
その彼女の驚愕の言葉に絶句してしまう。
浮気相手を家庭内別居中の家に連れ込む…
私には考えられない事であった。
「ラブホ代が惜しかったんじゃないの?、それにさぁ、その相手の女もさすがに図太くてさぁ…」
こっそりウチに来る度に部屋の飾りに悪戯を仕掛けてきていたのよ…
と、驚愕の事実を言ってきたのだ。
「悪戯って…」
「うんとねぇ、ホント色々…
例えば、昔はいつも花瓶にお花飾っていたんだけどさ…」
いったい律子と幾夜の逢瀬を過ごしてきたのか…
本当に今更、訊くに訊けない。
ただ間違いなく分かっていることは律子に愛されている…
という事実である。
「シャワー浴びてくるね」
そんなこのリビングから律子との共通点の事を考えていたら、シーツ交換をようやく終えたきよっぺが寝室から出てきた。
「うん…」
「ああ、あまりにも何も無いリビングなんで呆れてるんでしょう」
すると、まるで私の想いを見透かしたかの様な言葉を言ってきたのである。
「え、う、うん…」
慌てて繕う返事をしたのだが、勘の良い彼女にはバレバレであった。
「花の一つも無い部屋だなぁって呆れてるんでしょう?」
自虐気味の笑みを浮かべてそう言ってきた。
「え、いや、あ…」
「ほら、もお、こっぺの顔にそう書いてあるわよ」
やはりバレバレであった。
「もう偽りの飾りなんて要らないの…」
するとボソッとそう呟いたのだ。
「え…」
偽りの飾りって…
「なんかさぁ、離婚に到るまでのこの10年間の家庭内別居でさぁ、すっかりさぁ…
心のお花が枯れちゃったみたいなのよねぇ…」
「え…」
「うん、出戻ってきた時にすっかり無駄なモノは捨てちゃったし、なんかもうお花だけじゃなくてさぁ、色々な装飾品を飾る気持ちも無くなっちゃったのよねぇ」
「そうなんだ…」
「うん、そうなの、それに一時期はお花とかは飾ったことはあるのよ、でもさあ枯らしちゃうのよ」
「………」
返す言葉が無かった。
「なんかぁ、直ぐお水上げるの忘れちゃって枯らしちゃうのよねぇ…
それにさぁ…」
きよっぺはそう言いながら、宙を見つめ、言葉を続けてくる。
「それにさぁ…
家庭内別居中に元旦那はさ、浮気してて、更にわたしの留守中にその浮気相手を連れ込んでたりしていたのよ…」
その彼女の驚愕の言葉に絶句してしまう。
浮気相手を家庭内別居中の家に連れ込む…
私には考えられない事であった。
「ラブホ代が惜しかったんじゃないの?、それにさぁ、その相手の女もさすがに図太くてさぁ…」
こっそりウチに来る度に部屋の飾りに悪戯を仕掛けてきていたのよ…
と、驚愕の事実を言ってきたのだ。
「悪戯って…」
「うんとねぇ、ホント色々…
例えば、昔はいつも花瓶にお花飾っていたんだけどさ…」
