テキストサイズ

シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 146 おこがましい想い

 きよっぺの結婚生活…

 これはあの23年前に別れてからは、全く私には関係がない。
 
 の、だが…

 だが、なぜか…

 心が痛い、痛んでくるのである…

 そして…

 これはおこがましい思いであり、妄想の類いになってしまうのであるが…

 あの時…

 そう、せめてあの23年前の高校時代にきよっぺとヤっていたならば…

 そしてその後もずうっと付き合っていたのならば…

 あの元旦那と出会わなかった、いや、付き合う事など無かったのではないのか、それに結婚もしなかったのではないのか…

 そうなればこんな悲しくて辛い思いもしなくて済んだのではないのか…
 と、妄想してしまうのだ。

 そしてもしもこの私と結婚していたならば…
 これこそが本当に間抜けで己惚れた、おこがましい思いではあるのだが、そんな考え、妄想を一瞬ではあるのだがしてしまったのである。

 それにもう一つ新たな想いも浮かんできていたのだ。

 それは律子のリビングの事である…
 
 律子のあの空虚なリビングルームの様相は、やはり山崎専務からチラと訊いた昔の彼氏のストーキング的な出来事からの、心の寂しさや空虚感からのモノなのだろう…
 そう自分勝手に想像していたのだが、このきよっぺの元旦那とその不倫相手からの泥沼の様な出来事を訊いてししまうと、もしかして律子にももっとそんなドロドロとした、私なんかには想像もできない様な深い、トラウマ的な、ナニかが起因、原因があるのではないのだろうか。

 そう思うようになってしまっていたのである…
 どちらにせよ、深い闇があるのは間違いないようなのだ。


 そして私はそんな律子の事も考えながらも、今更ながら、心から、心の奥底から、きよっぺの事も、いや、きよっぺが愛おしいという思いが湧き起こってきていたのである。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ