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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 161 電話の相手

 やはりきよっぺも、私が帰省中の僅かな短いこの期間中、この数日間の関係であるという事を当然のように考えた、いや、考えているに違いない…

 つまりは割り切っている…
 私はそうに違いないと結論づけた。

 よし、この後滞在している残りの僅かな時間をきよっぺと過ごそう、過ごすんだ…
 私は、そう開き直り気味な想いを決めたのである。


 ブー、ブー、ブー…
 と、その時、携帯電話が着信をした。

 あっ、また、さっきの知らない番号からだ、誰なんだ?…
 私は少し心を騒めかせ、その電話に出る。

「もしもし…」

『あっ、こうちゃん、わたしノンです…』
 すると、その電話の向こうからは、昼間にも学童野球のグラウンドでも聞いた明るいノンの声が聞こえてきたのだ。

 やはり、ノンだったのか…
 でもなぜ私の電話番号を知っているんだ?…

『ごめん、昨日書いてもらったお客様カードで…』

 あっ、そうだった…
 半ば強制的に書かされた、お客様カードに携帯電話番号を書いたんだった。

『今朝の学童野球で、また偶然会っちゃてさぁ、我慢出来なくて電話しちゃったの』
 ノンはそう恥ずかしそうな小さな声で話してきたのである。

「ああ、いや、全然構わないよ」
『そうなのぉ、あぁ良かったぁ、本当はさ、お客様カードで調べて電話するなんて最低なんだけどさぁ…』

「いや、今日のグラウンドで番号交換すれば良かったんだよな」
 と、咄嗟にそんな言葉が自分の口から出た事に少し驚いていた。

『今何処に居るの?』
「あ、うん駅前のデパートに居る…」
『ええっ、それって隣じゃん』

「あ、あぁ、実はさ…」
 14日に甥っ子達とゆうえんちのプールに行くから水着を買いに…と、話しをする。

『へぇ、プールかぁ、で、今は?』
「うん、そのデパートの中の喫茶店に居る」

『あっ、すぐ行くから待って…』
 と、ノンはそう云って電話を切った。

「ふうぅ…」
 そして私はタバコに火を点ける。

 やはりノンだったのか…

 きよっぺの前にワンクッション空けられて、気持ち的にもちょうど良いのかもな…

「ごめん、お待たせ…」
「いや、5分と待ってないけど」
 あっという間にノンがやって来たのだ。

「あ、アイスコーヒーね」



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