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　195　同じ想い…

「あぁ、ノン…」
　その目を見た瞬間、私はそう囁いた。

　あぁ、この目は…

　この目は、私のきよっぺに抱いていた思いと同じ、いや、きよっぺとも同じ意味の目だ…

　20年前…
　私の事を忘れられなくて、忘れる事が出来なくて、東京まで追いかけて、２年間も追い続けてくれていた。

　そしてこの目は、その想いがようやく成就できた目の光りだ…

　既に20年という時間が流れ、過ぎてしまっている…

　だから、とりあえず、こうして抱かれれば、抱ければ、それだけでいいんだ…

　それだけで想いが成就てきるのだ…
　なぜならば、それは、その想いは私も同じ様に長年きよっぺに対して抱いてきていた想いと同じだからである。

　だから…

　だからこそ良く分かるのだ…

「あぁ、ノン…」
　私はそんなノンの想い、思い、気持ちが伝わってきて、そう感嘆の想いで名前を囁いた。

　そして同時に後悔の想いも湧いていたのだ…
　なぜならば、私はあの20年前に、ノンから逃げる様に、いや、逃げたのだから。

　東京で新しく生まれ変わりたかったから、田舎を捨てたのだ…
　そんな自分の我が儘な想いのせいで、ノンを２年間も哀しませ、悲しませてしまったのである。

「あぁ、こうちゃぁん…」
　ノンも同じような万感な想いなのであろう、両腕と両脚を私に逃がすまいと絡め付けながら名前を、感極まった想いの響きで呼んできたのだ。

「ノンっ」
「こうちゃんっ」
　私達はお互いに名前を呼び、カラダを絡め、一つに繋がり、愛を叫ぶ。

　ノンは歓喜の想いに…

　私は感嘆と、そして後悔という想いに…

　だが、肉体的なカラダの快感は一つであった。

　いや、そんなお互いの想いの違いは、今更、カラダの快感が消してくれるのだ、そうに違いない…
　私にはそう開き直りに近い思いが湧き起こり、そしてその快感で全てを誤魔化そうと必死に腰を振り、怒張をノンに打ち突けていく。

「あぁっ、ノンっ…」

「はぁんっ、こうちゃんっ…」

　私達は愛の叫びを上げながら、激しく愛し合っていった。

「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ…」

「あん、あっ、あっ、あっ、あっ…」

　ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ…

　愛の叫びとベッドの軋みが嬌声の様に部屋中に奏でられていく…