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第4章 合宿

夕食後少し自由時間がある。

安田の所には、同学年の男子部員が直ぐに集まる。安田の友達も何人かいるが、ほとんどそっちのけで、安田にばかり話しかける。

しばらくすると、安田がそそくさとその場を後にした。

僕は、安田が出ていったのを見て、逆のドアから建物の外へ出た。そこは渡り廊下になっており、ちょっと遠回りだが、体育館へ通じている。

体育館のドアは、先程いた場所からは、裏手になり、見えないし、夜にこんな所へ来る人間もいない。

僕が体育館のドアの所へ行くと、安田は、まだ来ていない。安田が出たドアからここまでは、僕が通るルートより断然近い。そのまま来れば、当然もう来ているはずである。

それから10分程待った。もしかしたら、来ないかも……と思いかけている時、

「ごめんなさい!私が呼んだのに遅れちゃって……。」

と言って、謝る安田は、さっきまでと違う色気がある。

少しメイクしてるだろうか?綺麗な顔が、いつも以上に色っぽい。髪型も、いつもは耳を隠しているが、今は、耳にかけている。

たぶん、ここに来るまでの短時間に、可能な範囲でお洒落してきたのである。


僕は、

「さっきまでと雰囲気が違うみたい!なんていうか、色っぽいっていうか……。」

と安田に言った。

安田は、はにかんだ様子で、

「そうかな?」

と言った。

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