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第2章 小学6年生

この年の夏休み、お盆の13日と14日に父親の実家に、父親と僕と妹で、一泊の予定で遊びに行った。

母親は、サービス業をしており、お盆など関係なく仕事に行っていたので、一人留守番になっていた。

父親の実家は、岐阜県の田舎で、大きな家に大きな庭があった。墓地もお寺の墓地のような協同墓地ではなく、近所の何軒かの墓地が集まっている狭い場所で、実家から徒歩でもそう遠くない、高台にあった。

僕は、毎年そのお墓にお参りに行っていたので、場所は知っていた。

夕方になると、大人達は、ビールを飲んで大騒ぎしていた。

今日この場にいる子供で小学生、中学生の年代は、僕と妹の二人だけで、後は、大人か、赤ちゃんだった。

父親が

「お前達、二人でお墓参りに行ってこい!場所は分かるよな!大人はもうちょっと飲んでるから!」

と言って、実家に住んでるおばさんに、線香もらって行くように言われた。

僕は、実家のお墓に行くのは、好きだった。何となく、日常と違う雰囲気があるからだ。

妹と一緒に、花と、バケツと、線香とロウソク、それと松明を持ってお墓に向かった。

お墓に着くと、近くに沢が流れている。そこでバケツに水を汲んだ。妹は、花を替え、僕は、松明を焚いた。

毎年やってるので、日常的に火を使うことのない僕でも、松明には簡単に火をつけられた。

その火でロウソクに火をつけ、灯籠に灯すと、線香にも火をつけ、お参りした。

丁度その頃、遠くで雷が鳴り出し、雨が少し降ってきた。

「お兄ちゃん、降ってきたよ!傘持ってくれば良かったね!」

と妹が言うと、僕は、

「おばさんは、持っていった方がいいって言ったけど、めんどくさいからいいよ!って言って、持ってこなかった。」

と言った。妹は、

「あーあ、早く帰ろう!火に水かけるよ!」

と言って、松明に水をかけて火を消し、帰る準備をした。

おばさんから、「火事になるといけないから、松明には必ず水をかけて消してきてね!」と、言われていた。






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