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第4章 合宿

練習が始まると、今日の安田は、笑顔が絶えなかった。

誰の目にも輝いて見えたと思う。

「安田、かわいいよな!特に今日は、かわいいよ!」

隣で見ていた、部長の高橋が言った。

「そうだね!かわいい!」

と僕も言った。

やっぱり、不安がなくなったからだろうか?女の子は、そういうのがストレートに表に出るもかもしれないと思った。

昨日の夜のことは今でも信じられない。でも、今の安田の雰囲気が、現実だったんだと教えてくれる。

無意識に安田だけを目で追ってしまっている僕がいた。

「お前、安田と何かあったのか?」

と、突然高橋が聞いた。

「何かって?昨日は、ラケット貸しただけだけど……。」

と言うと、高橋は、

「安田のあのはしゃぎよう……。最近見たことないよ!お前、安田に好かれてるだろ?だから、何かあったんじゃないかと思って……。」

高橋も安田が好きで、どうも告白したらしい。

「俺、聞いたんだよ!安田に……。好きな人いるのかって!そしたらいるって答えた。卓球部か?って聞いたら、頷いた!」

「それが僕だって言うの?」

と僕が聞くと、

「見てりゃ分かるよ!あいつ、お前にしかラケット借りないだろ?それに、お前の前ではそんなに言わないけど、他の人と話してると、お前の名前がよく出てくるんだよ!」


知らなかった。安田が会話で僕の名前を出してるなんて……。

「俺、前から安田のこと見てたから、何となく分かるんだよな!優しくしてやれよ!」

と高橋は言った。僕は、

「冷たくしてるつもりはないよ!」

と言うと、

「そう見えるんだよ!」

と高橋は言った。続けて、

「お前はいいな!」

と言って、練習に戻っていった。




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