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ヌードモデルかんさつにっき

第4章 裸身

遅かれ早かれ、バージンの想像は現実となり、
ついに裸体をさらす日が来る。

相手は異性だが、大好きな相手にひそかに見せるということだから、なんとか耐えられる。

部屋を暗くしてくれたり、シーツで覆ってくれたりして、ようやく落ち着くのも一瞬、
全身におよぶ愛撫を受けるのだ。

ここまでパンティを死守していたとしても、たいていこの段階で失う。

生まれるときは誰もが裸。
処女が生まれ変わるのだから、裸になるのがふさわしい──

──パンツと裸をひさびさに意識したら、妙なことを考えていた。

処女の裸も初々しいけど、ヌードモデルの綺麗な裸も悪くないでしょ?

伸ばした脚と曲げた脚の構図におさまるお尻。

非処女としての余裕と、ヌードモデルとしての自信でたっぷり見せたけど、とりあえずは静止画だけ。

ちなみに、ショーツは彼に抜いてもらった。

下半身の絶景のあとは、やはり上半身。

頃合いをみて、私は大きく姿勢を変えた──ちょうどソファーに寝そべりテレビを見ているような姿勢に。

誰もが日常でやっているリラックスの形だが、
かりにも鑑賞用のヌードモデル、「一般人から着衣を取り除いただけ」ではない。

乳房の形を最も美しく見せ、さらに左右の微妙な差を意識させなければ、プロじゃない。(?)

さりげないようで、体を立てる角度や腕を置く位置などはだいぶ計算しているのだ。

すべては乳房のために──

これで愛撫が始まり、全身に及び、
私は声をあげ、悦びを分かち合うことになる──そう計算しているのに、彼は見るだけで触ってこない。

画家なら当たり前だけど、彼は違う。

あの美少女ヌードモデルの、あまりにも美しい裸身をろくに鑑賞せずに、いじめにいじめて、凶器で貫いた男が、

いま、真摯に感動の視線を送っている。

わかった。

彼は、寝ポーズのフォルムに魅了されているんだ。

乳房だけじゃ不満?と、すねてもいいが、
ここはプロのモデルのポージングを披露するわ。

──といっても、寝ポーズはどんな形でもだいたいキマる。

たとえば「仰向け/右脚を立てる」と意識して実行すれば、残りの手足は一番ラクな位置に収まる。

性器が見えてもかまわないなら、まさに千変万化である。

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