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綺麗なあの人に抱かれたい!

第8章 大好き!


◇ ◇ ◇


 お風呂上がりに、隣同士でベッドに座る。
 卯月さんは上半身裸で、私はバスタオルを1枚体に巻き付けているだけの状態。うっかり落ちたりしないように、胸元でタオルの端を手で握った。

 緊張で体が強張っている。
 またこの人に抱かれるんだと思ったら、甘い鼓動が胸を打った。

 卯月さんの腕が肩に回る。
 引き寄せられて、間近にあった彼の顔が傾いた。
 あ、と声を掛ける暇もなく、唇が塞がれる。

「ん……っ」

 触れ合った場所から、熱が広がっていく。
 キスも、この人に抱かれるのも初めてじゃないのに、心臓がばくばくして落ち着かない。タオルを握る手にも、汗が滲む。

 変だ。こんなこと、もう慣れっこのはずなのに。「これが初体験です」みたいな、このただならぬ緊張感は何だろう。

 いつもみたいに、濃厚なキスができない。
 初々しい反応しかできない。
 初めて抱いてもらったあの日ですら、最初は上手く出来ていたような気がするのに。

 身動きできず、大人しく彼のキスを受け入れている私から、唇がゆっくりと離れていく。
 私を見つめる卯月さんの、薄い唇が弧を描く。

「……顔怖いんだけど」
「う、だって」

 どもって、その後の言葉が続かない。
 なのに卯月さんは更に追い打ちを掛けてくる。

「奈々からもキスして」
「っ、え」
「早く」

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