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綺麗なあの人に抱かれたい!

第8章 大好き!

 私のペースに持ち越そうとしても、卯月さんはそれに乗ってこない。主導権を握ってるのは自分だと言わんばかりに私の身体を求めてきた。

 身体中にキスの雨を降らせて、指先や唇で私を翻弄する。激しさはあれど、暴力的ではない。
 自らの想いをぶつけてくるような触れ方は、今までされたことのない類いのセックスだった。あの未知な感覚は、今思えば、卯月さんの想いにあてられていたのかと気づく。

 私は心のどこかで、セックスはAVの一環だって思っていた部分があった。
 相手を気持ちよくさせて、自らも気持ちよくなるためにあるもの。

 その認識が間違っていたとは思わないけれど、卯月さんの抱き方は、それに当てはまらなかった。だから、あんなに動揺したのかもしれない。

 快感だけを求めるセックスと、好きな人と肌を通して触れ合うセックスって、全然違う。

 気持ちよさから来る幸せと、好きな人に抱かれる幸せも、全然違う。

 セックスはコミュニケーションだよね、なんて言っていた少し前の自分が恥ずかしい。私が望むセックスをしてほしいから、ただ自分のしてほしいことを相手に押し付けてるだけの一方的なやり方だった。
 疎通を図ることは大事だけど、私のやってることは、ただのAVとおんなじだ。

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