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綺麗なあの人に抱かれたい!

第4章 デートですか?

 禁欲生活なんて自分には無理だ、って思っていたけれど、確固たる目標を掲げた時、人は越えられない壁も乗り越えられてしまうらしい。セックス無しで半年間も過ごせるなんて、以前の私なら、絶対に考えられないことだった。

 と言っても、性欲がなくなった訳じゃない。
 卯月さんに抱いてもらえたら、またみんなといっぱい遊ぶつもりだもん。



◇ ◇ ◇



「どっか行くか」

 その一言に私は顔を上げた。

 テーブルの上には酸味の効いたチキントマト煮。もちろん作ったのは卯月さん。
 みりんや醤油、ソースなどを色々混ぜ合わて作ったお陰で、深いコクが出て美味しく仕上がっている。ご飯がよく進む味。
 最近はこのトマト煮が、私のお気に入り。

「どっかって、どこ?」
「どこでもいいけど。どこ行きたい?」

 卯月さんの会話はいつも淡々としてる。このお誘いの意図も、私にはサッパリだ。

 何のつもりでの一緒のお出掛けなんだろう。食材探し? グルメ巡りみたいなものだろうか?
 どう答えていいのかわからず、うんうんと唸る。

「奈々」
「うん?」
「行きたいところ、ないのか」

 問い詰めるように尋ねられて、ますます困惑する。

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