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綺麗なあの人に抱かれたい!

第4章 デートですか?

 行きたいところ。
 私の行きたいところ?
 ラブホとか?

「ラブホは却下な」
「どうして心の声が読めるの」
「顔見たらわかる」

 いつしか交わした会話をもう一度繰り返して、卯月さんはまた笑った。
 最近はよく笑ってくれる。前みたいな皮肉っぽい笑い方じゃない、自然な笑い方。

「卯月さんは、どこか行きたいところある?」

 考えても答えが出てこないので、逆に問い返してみる。

「……特にない」
「えー」

 それじゃあ、この話は一向に進まないよ。

「俺ら、いっつも会うのは此処だろ」
「ここ?」
「俺の部屋」
「うん」
「たまには外に出てみるのもいいだろ」
「おお」

 なるほど。そうだったんだ。

「街ぶらつきたい」

 私がそう言えば、卯月さんはつまらなさそうな顔をした。
 希望を言ったのに、なぜだ。

「そんなんでいいのかよ」
「うん」
「もっと、他になんかあるだろ」

 でも、行きたいところなんてないし。

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