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綺麗なあの人に抱かれたい!

第4章 デートですか?

「他って?」
「遊園地とか」
「ああいう煩いところ、わたし苦手」

 彼の提案を拒む。

「水族館とか」
「魚見ても何が楽しいのかわかんない」
「プラネタリウムとか」
「星見ても何が面白いのかわかんない」
「……映画館とか」
「暗がりだから、いかがわしい事したくなる」
「………動物園とか」
「臭い」
「………」

 ことごとく拒絶する私に、卯月さんはとうとう音を上げた。
 近くに置いてあった雑誌を手に取り、くるくる丸めて私の頭をぽか、と殴る。

「なにすんの」
「人の提案したプランをことごとく潰しやがって」
「そんな事言われても……あ、」
「なんだよ」
「行きたいところ、あった」

 そうだ。
 そろそろ、あの場所に行きたいと思っていたんだった。

「どこだ」
「猫カフェ」
「………」

 僅かに晴れやかな表情へと変貌した卯月さんの顔が、一瞬にして真顔に戻る。

「……くまごろうを裏切る気か」
「そういう訳じゃないけど、たまには猫ちゃんで癒されたいの」

 犬を飼ってるからって、みんなが犬派だと思わないでほしい。私は猫も大好きだ。

「……まあ、いいけど」
「卯月さん、一緒に来るの?」
「嫌なのかよ」
「いやじゃないけど」

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